今回は前回に引き続きBroadway In Japan (BIJ)のマユミ・アンドウさん、辛源さんお二人のロングインタビューをお届けします。後半はお二人自身がミュージカル俳優を志した理由から、アメリカと日本のショービジネスの違いなども聞きしました。インタビューの最後には今春開催のワークショップの詳細も!
前編はこちらです。
−−−−それでは次にお二人自身のことをお聞きしたいと思います。お二人が舞台の世界を志した理由を教えてください。
マユミ:My parents had me dabble in all kinds of activities, sports, and arts since I was around 7. However, it wasn’t until I was 10 years old that my mom put me in ballet class. On my first day of class, I fell in love. I danced everywhere like the supermarket aisles and shopping malls. I got introduced to musical theatre through summer dance camp. It was the kind of camp you slept over at for 2 weeks, and every night, they would play a different musical on the TV for us. When they played West Side Story, I thought, ”Oh my God, what is this?!” It was amazing. Upon returning home, I went to my town library and borrowed a different musical VHS tape every day. As an active participant, I got involved in high school. American high schools usually do musicals at least once a year. So I auditioned my freshman year, and when I got the show, I caught the bug! Even though I pursued other activities in high school, I never stopped singing and dancing.
(両親が、7歳頃のときからたくさんのアクティビティに連れて行ってくれました。でも、10歳になって初めてバレエのレッスンをうけて、そのときにバレエが大好きになり、毎日通うようになりました。絵を描くことにははまらなかったけれど、踊ることには夢中になりました。スーパーマーケットやショッピングモールでもどこでもずっと踊っていました。ミュージカルにはサマーキャンプを通じて出会いました。そこでは毎晩、ミュージカル映画のビデオが流されたのですが、そこで「ウエストサイド・ストーリー」に出会い、衝撃を受けました。それからは、図書館にいって、そこにあるミュージカルを毎日見ていました。アメリカの高校では学内ミュージカルをやるのですが、私も新入生の時にオーディションを受けて合格しました。それからはミュージカルに夢中になりました!たとえ他のことを始めても、歌って踊ることを辞めませんでした。
−−−−それがこのミュージカルの世界に入るきっかけということですね。辛源さんはどのようなきっかけでしょうか?
辛源:僕はイギリスのロンドンで生まれ育って、母親が日本の雑誌向けに演劇コラムを書いていたので小さい頃から多くの作品に触れることができて、ミュージカルに対する親しみはありました。ただ日本の中高にいっていたのでミュージカルに触れる機会はそれ以降ありませんでした。しかし18歳のときに母の勧めで王立演劇学校のワークショップを三週間受けにいき、とても楽しい経験をしました。大学生になって、日本で「RENT」のオーディションがあって、歌唱指導の先生に勧められて受けたら、受かってしまいました。それがデビューですね。受かったからには頑張ろうと思ったんですが、RENTをやったときに、あまりの自分の出来なさを感じて…。本格的に職業として舞台俳優をやっていくためには演劇学校に行かないと生き残れないと確信したんです。そして大学の卒業式も出ずにアメリカ演劇学校に飛び込んで、NYで生活を始めました。そのときに始めて演劇を本格的に習い、もうそのことしか考えなくなってしまいましたね。
−−−−ではお二人の思う日本とアメリカのショービジネスの違いとはなんでしょう?
辛源:アメリカのショービジネスは商業的にいうとクラウドファウンディング【不特定多数の人が通常インターネット経由で他の人々や組織に財源の提供や協力などを行うこと】に近いです。プロデューサーがいて投資家からお金をたくさん集めて、投資に近い方法で芝居を作って、黒字になれば投資家にバックがくる。でも日本では制作会社が自社の予算の中から芝居を作る。Open run【終演日が未定の状態で継続的に公演を行うこと】じゃない、予算を取り戻すための期間があるのでかなり違います。キャスティングもその期間のチケットを売るためのキャスティングだからその方法もアメリカとは違いますね。
−−−−日本はOpen Call【誰でも受けられる】のオーディションがないと聞きましたが。
辛源:そうですね。日本は事務所に所属してオーディションを受けるという仕組み。イギリスもそうですよ。事務所に入らないとウエストエンドのオーディションを受けられないらしいです。逆にアメリカのオープンコールは形だけという場合も多いです。Equity【アメリカの俳優組合】のルールでオーディションをしないといけない。でもやっぱり実力があれば選ばれるチャンスというのはこっちの方が多いですね。
−−−−なるほど。
辛源:あとアメリカはUnion【俳優組合】があるせいで、とてもドライです。つまりお金のためには働く。ビジネスはとてもしやすい形式ですよね、とてもシンプル。でも日本の方が飲み会とか出演者間の交流が多くて、公演期間が終わった後も連絡を取っている方も多いです。あと大きな違いは契約のタイミング。日本の演劇はなかなか契約書にサインをしたがらない、万が一キャンセルになったときに弁償しなくていいように最後の最後まで、本番始まった後とかにサインをさせられるのだけど、逆にアメリカはスケジュールをおさえるために早くしたがります。
−−−−では今後BIJをどのように展開させていきたいですか?
マユミ:There are so many things we want to do, and we are talking with many people regarding collaborations and expansion etcetera, so we can’t quite reveal what is in the works just yet. We have also recently established a study abroad in NYC program hosted by BIJ.
(たくさんしたいことがあります。日本の制作会社とのコラボレート案もいくつあがっています。NYへの留学プログラムも計画中です。)
−−−−では、お二人の思うニューヨークの魅力とは?
辛源:NYでは「アートは美術館や劇場でみるもの」という境界線がないです。ストリートアートやパフォーマーもいる。大きい劇場にいかなくても、予期しないところでアートが飛び込んでくる。無料の演劇やレクチャーもあります。
マユミ:The most incredible thing in NY is diversity. There are so many different people and cultures here. You get a taste of multiculturalism just by stepping into a subway car. Because NYC attracts everyone from around the world, it is also incredibly competitive. It’s a hard city—full of excitement but can be tough to live in. It certainly makes one stronger—especially actors.
(NYの一番の魅力は多様性です。様々な人々、様々な文化があります。地下鉄のたった1つの車両でも、本当に様々な人たちが乗っています。もしあなたが次のレベルに進みたければ、毎日NYにはチャンスが転がっています。本当に大変です。それはきっとあなたを強くします、特に俳優に関しては。生き残るのは大変な街ですが、とても刺激的です。)
−−−−では最後にNY1pageの読者にメッセージはありますか?
辛源:ブロードウェイを目指している人は勿論、直接はめざしていない人でもブロードウェイにきてレッスンを受ける価値は本当にあります。だからこそBIJに来ていただきたい。ニューヨークに飛ぶことを考えたら10倍くらいお得ですよ。
マユミ:What we are offering is very unique and valuable. At first, people say “Takai! (It’s so expensive!)” but after they attend BIJ, they realize the program’s value. The connections you make are in themselves priceless. 90% of our students are repeaters!
(私たちが提供しているものはとってもユニークで価値のあるものです。最初はみんな高いと言うけれど、レッスンを受けた後は誰も言いません。生徒のうちの90%がリピーターなんですよ。)
−−−−貴重なお話、ありがとうございました!
(取材・執筆 関詩織)
☆★ブロードウェイ・イン・ジャパン第3弾開催日程決定!!★☆
〜本格ミュージカル・ブートキャンプ〜
本場ブロードウェイの講師を招いて実施する短期集中型ワークショップの第3回開催日程が決定!
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【日程・場所】
A日程:6月19日(金)~21日(日)
東京都内スタジオ
B日程:6月23日(火)~25日(木)
東京都内スタジオ
対象: パフォーマーを目指している方、すでにパフォーマーとして活動している方。
(対象年齢13歳以上〜)
定員: 各回35名まで/事前申込制 (当日参加の場合は空き状況によりますので、ご連絡をください)
詳細はウェブサイトにて!
http://www.broadwayinjapan.com
☆来日予定講師☆
ヘイヴェン・バートン(BWAY:「シュレック」「キンキーブーツ」「RENT」「Legally Blonde」)
http://www.broadwayworld.com/people/Haven-Burton
エンリコ・ロドリゲズ(BWAY:「Big」「RENT」Off BWAY:「ラジオ・シティ・クリスマス・スペクタキュラー」「Here Lies Love」)
http://www.broadwayworld.com/people/Enrico-Rodriguez
スペシャルゲスト講師、高良結香(BWAY:「Flower Drum Song」「マンマミーア!」「RENT」「太平洋序曲」)
http://www.yukatakara.com
の来日が決定!
参加申込みはこちらから!
★早期申込み割引として、4月19日までにお申し込みいただいた方に5,000円の割引を適用中★
Broadway in Japan
http://www.broadwayinjapan.com
本場ニューヨーク、オン・ブロードウェイ・パフォーマーだけで構成された最強のプログラム! / BIJ provides professional, Broadway-caliber, performing arts education in Japan!
マユミ・アンドウ Mayumi Ando / Founder, Director
マユミは、日本人の父親とフィリピン系アメリカ人の母親との間に、サンフランシスコで生まれ、ハワイそしてオレゴン州の小さなカレッジタウンで育ちました。 彼女は幼少時からダンスに夢中になり、両親は様々な芸術に触れる機会を与えてくれました。また当然のことながら、多文化環境の大切さを皮膚の一部にしながら彼女は成長しました。
大学からニューヨークに移り、フラワードラムソングを初めとして様々なミュージカルに出演しました。23歳の時には、オンブロードウエイでトニー賞をはじめ多くの賞を受賞したロングランミュージカル”RENT”に出演し、それから5年間連続して舞台を務めました。この間、昼は社会学を専攻してコロンビア大
学を卒業しました。彼女はダンス教育を通じて、ダンサーとしてそして何よりも人生において成功するためのツールをいくつも学ぶことができたと考えています。それは、何よりも自分に対する自信であり、健康への気付き、創造性、自己規律、倫理、スポーツマンシップ、審美眼等々など数えきれません。これらの生きるためのツールを多くの人とシェアしながら、これからは起業家として社会に対して、何らかの教育的貢献ができればと願っています。
辛源 Gen Parton Shin / Associate Director
2008年、東宝シアタークリエにてブロードウェイミュージカル「RENT」でエンジェル役として舞台デビュー。以来、「ロッキーホラーショー(劇団☆新感線)」「Mitsuko〜愛は国境を越えて〜(小池修一郎演出)」等に出演。2012年、ニューヨークのT. Schreiber Studio正規課程を修了後、ブロードウェイを目指しアーティストビザを取得。ニューヨークフリンジフェスティバル、「The History Boys」「167 Tongues」「Miss Saigon(Thuy役、Playhouse on the Square劇場)」等をはじめ、現地にて舞台に積極出演中。舞台の他にSONY、 ABC-マート、アサヒ、グリコ等TVCMに出演、モデルとして音楽専科社出版「KNIT」メインモデルなど、また声優としても活躍の場を広げている。英語圏とアジアで生きてきた背景を生かした作品創りを目指し、将来の興味は演出、脚本へと広がる。
[…] インタビュー後編はこちらです! […]