アリス=紗良•オット(ピアニスト) ロングインタビューPART1

「私にとってすごく大事なのは、音楽を通してお客さまと共鳴すること。」

 ミュンヘン•フィルハーモニーをはじめとする世界中の名だたる交響楽団と数々の競演を果たし、いまクラシック音楽界でもっとも注目度の高いピアニスト、アリス=紗良•オット。卓越したテクニックと、情感あふれる表現力を併せもつ、弱冠24歳の若手実力派ピアニストだ。

 2012年にリリースされた5thアルバム「Pictures」をひっさげて、NYでは初の本格的なピアノリサイタルが、さる6月4日にグリニッジ•ビレッジの(le) poisson rougeにて行われた。

  リサイタル前日、自身が目指すピアニストとしての生き方、音楽に対する思い、昨年の日本全国ツアーでの知られざるエピソードなどについて、たっぷりと語ってもらった。

———今回のNYのリサイタルで披露されるプログラム内容について詳しくお聞ききしていきます。今回のリサイタルは、2012年にリリースされたアルバム「Pictures」の収録曲からが中心ですね。こちらのアルバムは、サンクトペテルブルクでの白夜祭のときの演奏を収めたレコーディング•アルバムですが、この時のエピソードについて教えてください。

IMG_1419アリス:本当にチャレンジングな経験でした。ロシアでの初めてのレコーディングで、しかもライブ録音なので、チャンスが一回しかないし。本番の前日に、パッチワーク•セッションっていって、ライブ録音の音源を基本的には使うんですけど、たまにすごい音の間違いとか、お客さんの咳とか入ってしまった時に備えて、バックアップのためのセッションがあったんです。その時に、普段ドイツでは予定通りに行くんだけど、ロシアだといくらスケジュールをたてても、全然予定通りに行かなくて。しかも30分ごとに掃除のおばさんとか、消防士とかが入ってきて、それで全然パッチワークをやっている暇がない(笑)。ピアノも本当にひどい状態で。それで最終的にものすごくストレスを感じて、コンサートのレコーディングがうまくいくのかがすごく不安になってきて•••。そうやってストレスがいっぱいたまっていたので、コンサート中の2時間が、本当に誰にも邪魔されず、自由に弾けたって感じだったので(笑)。最終的には良かったって思ったんですけど(笑)。

———何が幸いするか分かりませんね。

アリス:でもコンサート自体は、皆さんすごく暖かくて。ロシアの音楽をロシアのお客さんの前で弾くので、(本来は)それを考えるとそれだけでも緊張してしまうんだけど、そのことをすっかり忘れてしまって。本当に自由に弾けたので、そういう意味ではすごく良かったと思うんですけれども。もともとロシアは、個人的にすごく好きなんですよ。ロシア文学も好きだし。ロシア語も一時勉強していたくらい•••でももう難しすぎてやめてしまったんですけれども。それくらいロシア好きだし、皆さんもすごい暖かいんだけれども、ほんともうスケジュールを立てると予定通りいかないんで。レコーディングには、ちょっときつい状態でした。

———そんな苦労を乗り越えての、あの素晴らしい演奏だったんですね。

アリス:やっぱりその前にいっぱいストレスを感じてしまったから、本番が、邪魔されない唯一の時間だったので。

———その時に自分を解放できたんですね。

アリス:そう、そう。そうですね。だからかえって前にストレスがあった方が良かった。

———凄くユニークな体験でしたね。

アリス:はい。あと、ちょうど白夜の時だったので、観光客がいっぱいいたんですけど、夜すごく綺麗で。暗くならないから、身体にはちょっときついんだけど。でもやっぱり、こうなんか橋があがっていくのを見て、すごく綺麗で幻想的でした。

———弾いている時にそんな風に、周囲を見渡す余裕はあるんですか。

IMG_1358アリス:あまり演奏している間、自分がどこを見ているか、何をしているか自分では分からないんですよ。よくお客さんから、目をつむってるとか、客席の方を見てたとか言われるんですけど、自分では全然気付いていなくて。でもやっぱりお客さんなしじゃ音楽はその場で成り立たないので、それはすごく大事だと思うし。こう、舞台で孤立してしまうのではなく、お客さんと一緒に音楽を通して会話して行くのはすごく大事だと思っています。なので、(お客さんの存在を)意識は、してます。(笑)私にとってすごく大事なのは、音楽を通してお客さまと共鳴すること。やっぱり、自分が感じている、曲に込められている思いがお客さまに伝わって、心の中で共鳴できたらと思っていますね。今回のNYでのリサイタルも、初めて私の演奏を聴くお客さまも沢山いると思うのですが、音楽を通して共鳴できるようなものにしたいです。

<取材・記事 Chiaki Ito>

 アリス=紗良•オット(ピアニスト)ロングインタビュー Part2はこちら

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