世界を舞台に活躍するシェフ: Yuu Shimano at Mifune

Photo Courtesy of Yuu Shimano

星を取りたい。それは一流のシェフであれば誰もが思うことであろう。日本食レストランがひしめくミッドタウンイーストで2017年にオープンした和食レストラン Mifune。そこで Executive Chef を務める Chef Yuu Shimanoも例外ではない。「日本人としてフレンチで三つ星を取りたい。」そんな思いを胸にChef Yuu はレストラン激戦地であるニューヨークに足を踏み入れた。

With Mifune Members / Photo Courtesy of Yuu Shimano

日本でもフレンチで8年経験のあるChef Yuu。フランスで調理師学校を卒業し、その後8年に渡りフランスの一流シェフ達と料理の本場で肩を並べて厨房に立った。渡米前はパリの著名なミシェラン三つ星レストラン、 Guy Savoy でメインディッシュを担当。ニューヨークにある日本食レストランの多くは日本から材料を取り入れる事が多いが、Chef Yuu は極力現地の食材を追求し、その食材の良さを生かしながら日本の要素を取り入れたフランス料理を作り出す。ニューヨークでも数多くの日本食店に足を運んだが、Mifune で出された料理の数々はどれも独創的かつ新鮮で、食べていて本当に楽しいと思えるものだった。

Amuse bouche

アミューズブーシュはトマト、赤ピーマン、そしてラズベリーのピューレ。鮮やかなピューレの周りには宝石のような野菜があしらわれていて見るからに美しい。酸味の効いた味付けが食欲をそそる。次に出された前菜の盛り合わせはどれから食べようかと心をわくわくさせる。

鮮やかな青の器に盛られたボーンマロー(牛骨髄)のコンソメに浮かぶ牡蠣。コンソメはネギなどを加えChef Yuu が独自でアレンジしたもの。あっさりしている中に何層もの深みがあり、口の中に余韻が残る。絶品の牡蠣は低温でさっと火を通してあり、噛むと口の中にふわっと甘みと旨味が広がる。今まで食べてきた牡蠣の中で一番印象に残るくらいに感動した一品であった。

Japanese Ayu & Crème de Mushroom

鮎ときのこのクリームは魚の形を残したまま背骨だけを取るという難しい技法で処理された鮎をハーブ入りの衣を付けて揚げ、そこにきのこのベシャメルソースを詰めたもの。これをシソのピューレを一緒に頂く。このマッシュルームのベシャメルソースは同席者全員が唸るような美味しさだ。鮎、キノコのベシャメルソース、そしてシソのピューレという組み合わせは奇抜なアイディアのように思えたが、食べてみるとその相性の良さに驚かされた。

子羊のローストは完璧な焼き加減で、添えられた野菜も一つ一つ味が生きている。子羊のローストの他に、もう一品肉料理が添えられていたのだが、これは捨ててもいいような切れ端などの肉を手間をかけて調理したものだという。旨味のぎっしり詰まった、ローストに負けないくらいの1品に仕上がっていた。

そしてデザートの最初に出されたのはオーストラリアのウィンタートリュフのアイスクリーム。これも驚きの組み合わせだが、バニラと共に広がるトリュフの香りは格別だ。 ライスプディングには桃のコンポートが添えられていた。ワイン、シナモン、そして柚子など色々な材料で仕上げられたコンポートは優しい味のライスプディングにマッチし、後を引くおいしさである。

Chef Yuu in front of Chamarré Montmartre
Photo Courtesy of Yuu Shimano

最初から最後まで一品一品に頭が下がるくらいの手間がかけられていて、どの品も素材の良さを前面に引き出し季節感を感じられる仕上がりとなっていた。旬の素材を無駄なく使うというのが Chef Yuu のスタイルだ。

調理をしている時に特に気にかけていることは”香り”だと言う。確かに、料理というと味にどうしても焦点が行ってしまうが、匂いというのは味と同じくらい重要なものである。Guy Savoy で働いていた時はフランス料理の要ともいえるソース作りを担当し、一日に10種類以上のソースを作っていたという。一流レストランで出される複雑なソースの数々を一人で仕上げていくのは並大抵の事ではない。レシピ通りに作れば良いという物ではなく、少しの匙加減がソースの出来を大きく左右するのだ。Chef Yuu はそのソース作りの”塩梅”を味覚だけでなく嗅覚でも覚え、味と香りで良し悪しを判断していた。初めは上のシェフに毎回味を確認してもらっていたが、やがて自分で味を決めて良いとお墨付きをもらう。ソース作りという大役を任せてもらえたことは、Chef Yuu にとって大きなステップだったに違いない。

With Chef Tomohiro Urata
Photo Courtesy of Yuu Shimano

フランスの三つ星レストランで養った技術と知識を生かし、Chef Yuu 絶品の品々を作り出す。しかし、Mifune で出される素晴らしい料理は決してChef Yuu だけの力で生み出されているのではない。Chef Yuu には Chef Tomohiro Urata という日本時代からの戦友がいるのだ。Chef Tomohiro もフランスの名店、ミシェラン三星の Maison Troisgros で働いていたが、現在はChef Yuu と共にMifune で Executive Chef を務める。Mifune の料理はフランスのトップクラスのレストランで経験を積んできた二人のChef がお互いに協力しあい、プレッシャーを掛け合いながらの二人三脚で作り上げられている。二人の Chef がいるからこそ、色々なアイディアが浮かび、 他には無いようなメニューが作り出されるだろう。そして彼らの指揮の下で作り出される品々は味を奏でるオーケストラのように食する人を魅了する。

伝統的なコックコートのモデルをするChef Yuu
Photo Courtesy of Yuu Shimano

レストランのEcexutive Chef というと聞えは華やかだが、”シェフ”という職業は消して楽なものではない。一日中立ち仕事なのはもちろん、Executive Chef ともなれば店の経営にもかかわり、自分の時間を取ることさえままならない。有名なレストランが数を並べるニューヨークで勝ち残っていくには 自分たちの料理でお客を呼ばなければならない。そんなプレッシャーが常にずっしりとのしかかっている。しかし、どんなにつらい状況でも Chef Yuu は前向きだ。けして負けたくない、そんな気持ちで厳しい状況を乗り越えていく。Chef Yuu の爽やかな笑顔の裏に、芯の強さが垣間見れた。

フランス時代の Chef Yuu
Photo Courtesy of Yuu Shimano

将来何がしたいかと聞くと、「面白いことがしたい」という答えが返ってきた。例えば、農家を営む人でも、チーズ職人でも、食に関わるクリエーターを集め、皆で楽しみながらできるプロジェクトを通して食べる楽しみを伝え、食べる人に喜びを与える。まだ漠然としてはいるが、満面の笑みで楽しそうに話す Chef Yuu に聞いていてこちらまでわくわくしてくる。何事にも一生懸命取り組む彼が夢を実現する日が待ち遠しい。

今、ニューヨークという大きな舞台で勝負に挑む Chef Yuu。彼の作り出す料理には底知れぬ努力と、食べている人を喜ばせたいという強い思いが秘められている。Chef Yuu が舌だけでなく、心を打つ料理が作れるのはそれが隠し味になっているからなのかもしれない。言語も文化も長年過ごしてきたフランスとは全く違うこの土地で、様々な壁にぶち当たることも多いであろう。それでも彼は立ち止まらない。

「フレンチで三つ星を取りたい」

そんな思いを胸に、今日もChef Yuu は厨房に立つ。

-e, Instagram: @e_villagestone

Mifune
245 East 44th Street (Between 2nd & 3rd Ave)
New York, NY 10017
Tel : 212-986-2800

Chef Yuu Shimano Instagram: @yuushimano

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