コロナ禍で見つけた、私の生きる道!NYでストリートパフォーマンス→NY市のポスターで起用され、全米放送のラジオで番組を持ち、南カリフォルニアのテレビにも出演、ダンサー、パフォーミングアーティスト、草島叶実(Let Hair Down)さん

草島 叶実(Kusajima Kanami)Let Hair Down web Instagram Facebook Patreon Store Clubhouse
北海道生まれ 千葉→広島→横浜→NY在住
ダンサー・パフォーミングアーティスト

6歳 湯原園子モダンバレエスタジオにてダンスを始める
埼玉全国舞踊コンクールでテレビ埼玉賞、奨励賞受賞
神奈川県立神奈川総合高校卒業後
2016年 NYへ
SUNY Purchase Collage(ニューヨーク州立大学パーチェス校)ダンス学部に入学
ニューヨーク・ライブ・アーツ、ザ・エイリー・シティグループ劇場、ショーマン、ミスト・ハーレム等のジャズバー、OSSAMギャラリーなどでパフォーマンスを披露
2020年 卒業 
オンラインでのライブ公演「ダンス×ジャズ・ミュージック・オンラインコンサート」開催
ワシントン広場や地下鉄駅でパフォーマンス活動(ほぼ毎日)
さくらラジオパーソナリティ

しゃけ:
テレビに出演された時のYouTubeを拝見させていただきました。ほぼ毎日NYのワシントンスクエアパークでパフォーマンスをされているのですね?雨の日も雪の日も?何時間くらい公園で過ごすのですか?


4:55~ SHOW TIME(TV)の取材を受ける草島叶実さん

叶実さん:
はい。雨の日も雪の日も踊っています。あられが降ってきたこともありました。時間は日によりますが、3時間が普通です。長い時は5時間ほど。踊ることは私にとってエネルギーチャージのようなもので、生きていくうえで必要なことなんです。食事、睡眠、踊り(笑)踊れないとストレスがたまってしまうんですよね。

2020年5月にNYの大学を卒業したのですが、在学中はいろいろなオーディションに落ち続けていたんです。さらにコロナでロックダウンになり、すべてが画面越しの生活がはじまりました。リモート授業、マスクと隔離生活。踊れる機会が減ってしまい、どうやって生きていったらいいのかわかりませんでした。

「私のダンスは誰からも必要とされていないんだ」と思い込んだり。それでも踊りたい・・・というか、6歳のころから踊りに夢中で他のことを気にしてこなかったので、ダンス以外、何をしていいかわからなかったんです。そんな時に屋外で踊るストリートパフォーマンスに挑戦してみることにしました。

しゃけ:
小さいころからダンスが好きなんですね。私は人前で踊るなんて恐ろしいです。しかも一人で3時間ってすごすぎます!

叶実さん:
私も最初は怖かったです。場所も隅の方の目立たないところを選びました。とにかく自分が踊りたいということが最優先だったので、実験のつもりで始めたんです。

そうしたらストリートパフォーマンスをした初日に、私のダンスを見て涙を流して感動してくれた方がいたんです。「コロナで辛かったけど元気が出た。久しぶりに画面越しでない芸術を見ることができた」と。私の方こそものすごく元気をもらいましたね。「やっぱりダンス最高!」となり、毎日公園に通うようになりました。

そしてある日、隅の方に場所がなくて、凱旋門の前の一番目立つ場所だけスペースが空いていたんです。勇気を出してそこで踊ってみたらとても気持ちが良くて。そこが私の定位置のようになりました。

しゃけ:
素晴らしい!そこで得たドネーションでニューヨークで生活できているのですね?

叶実さん:
はい。ありがたいことに、2020年12月から今まで、1年間と数ヶ月の間、公園でのダンスでドネーションをいただいて暮らしていくことができています。今ビザの申請で日本に来ているのですが、無事アーティストビザを取ることができたので9月14日にはNYに戻ります。

日本で「ストリートでパフォーマンスをしているダンサーです」と言うと、それは仕事ではないでしょうと思われるかもしれませんが、海外では芸術家がドネーションで生きていくということがごく当たり前の文化として根付いています。

街の治安が悪い時期などは、その日の担当の警備員・警察官によって有料の許可証の申請を求められることも時々はありますが、ストリートパフォーマンスが大好きな地元の人たちの支援のおかげで基本的に自由にパフォーマンスができます。一度ドネーションボックスを思いっきり蹴られたりしたことはありますが、公園にいつもいる地元の人たちが助けてくれました。

しゃけ:
日本との文化の違いを感じますね。NYは生き抜くには大変な街というイメージがありますが、違いますか?

叶実さん:
NYでは経済的弱者を援助するフードパントリー(無料で食糧をもらえる)があったり、安い中華料理のお店なども充実しています。2.75ドルでニューヨークシティ5区を地下鉄やバスでどこへでも移動できるので、交通費は日本より安いと感じますね。

人との出会いにも本当に恵まれています。ストリートパフォーマンス仲間のギターやピアノ(グランドピアノやアップライトピアノを台車に乗せてゴロゴロと公園に運ぶ方がいるんです)に合わせて即興で踊る日もあり、公園をたまたま通りかかったアーティストのミュージックビデオに出演させていただいたこともあります。

ストリートフォトグラファーの人たちもたくさんいます。 ある日、NY市のメディアの方がたまたま公園を通りかかり、わたしのストリートパフォーマンスの写真を市のポスターに使っていただきました。契約書にサインした時にはこんなに大きなポスターで使われるとは思ってもいませんでした。コロナ禍に負けずに踊り続けたということで、「NO STOPPING NEW YORK」シリーズで「芸術も止まっていない!」というメッセージに使っていただけたんです。とても光栄なことだなと思い、嬉しかったですね。

しゃけ:
コロナがなければ、ストリートパフォーマーへたどり着いていなかったかもしれないですね。

叶実さん:
そうですね。振付けを覚えて、オーディションを受け、リハーサルをして本番。ダンスカンパニーに入ってお給料をいただく。という道しか考えていなかったし、そこに行ければそれでよかったかもしれません。でも、それが今と同じくらい楽しかったかどうかは疑問です。毎日が即興で本番。自分の想像を超えたことが起こる刺激的な路上パフォーマンス生活を捨てられなくなってしまいました(笑)今のところは。

「なにこれ?」とじっと眉間にしわを寄せて見つめてくる子供とか(笑)そういう生の本音の反応が嬉しいんです。一緒に踊りだす子もいます。ワンワン吠えてくる犬もいると思えばそっと私のそばに座る犬も。

ある時はホームレスの方がしわくちゃの1ドル札を嬉しそうにドネーションしてくれました。「良かった。明日も来て欲しい」と言ってくださって。涙がでるほど嬉しかったです。もちろん良い日ばかりではなく、差別的な言葉や冷たい言葉をもらうこともあるけど、それはそれでいいんです。私のダンスで誰かの心が動いたと感じられることが幸せです。

しゃけ:
うわ。すごい。尊敬です。白い紙の上で体に墨汁をつけながら踊るスタイルも自然に出来上がったのですか?英語は独学ですか?

叶実さん:
ペインティングのパフォーマー、ピノキオさんとコラボしたのをきっかけに作り上げたスタイルです。ロンドンから観光でニューヨークに来た方が私のダンスを見て気に入ってくれたようで、帰国後に「あの日のあの紙があったら買いたい」と連絡をくれました。NYでの思い出の品として大切にしてくれていると思うと嬉しいです。

2021年3月に、初めてSoHoのアートギャラリーにて、グループ展に参加させていただきました。

英語は中学・高校から特に頑張りました。そのころから夢はNYでダンスをすることでした。地元の神奈川県の総合高校なんですが、やりたいことをやって単位がもらえるという高校だったので英語とダンス、英語とダンスという毎日。

おかげでNYの大学に入学できて、そこで生活するうちに英語も自然にできるようになっていきましたね。また、ダンスは「非言語の言語」だと思っていて、パフォーマンス中に私はほとんどしゃべらないのですが、身体の表現言語だけで「何か」が伝わるんです。

公園でのパフォーマンスを見て「感動しました」と言ってくださる方が多いのは、そこを大事にしているからなのかなと。

一人でストリートダンスパフォーマンスをすると決めてインスタグラムのアカウントを作った時に「Let Hair Down」(髪の毛を下ろしておく)と名付けました。後から知ったのですが、イディオム的には「リラックスする」と使われるようなのです。

お団子結びでキッチリと髪をまとめるダンスの中では芽が出なかったし、いわゆるダンス界の「お偉いさん」たちには選ばれなかったけれど、私のダンスで何かを感じてくれる人たちが世の中にはたくさんいるんだ、という自信が今はあります。ニューヨークでは「Let Hair Down」と呼ばれることも多いです。楽しみながらリラックスして踊り続けられたらいいですね。

しゃけ:
Let Hair Downがアーティスト名になっているのですね。日本ではどのような活動をしていますか?

叶実さん:
活動拠点は完全にニューヨークですが、今は(2022年9月)一時帰国中なので、日本では代々木公園と桜木町の駅前でパフォーマンスをしました。日本が好きではないのではなく、私にはニューヨークの生活が向いていたんだなと思っています。できればこれらからもニューヨークで活動していきたいです。

ニューヨークに戻る前に、9月10日にはロバート下北沢でイベントを予定しています。日本の皆さんの前でパフォーマンスできるのが楽しみです!

ニューヨークを拠点に24時間365日全米へ放送中の日本語インターネットラジオ局「さくらラジオ」ではパーソナリティを務めています。

また、2022年9月には、NYのPort Authority Bus Terminalにて、私のペインティングが展示されたスペースでのパフォーマンスも始まります。
NYでも皆さんにお会いできたら嬉しいです!

クラブハウスしゃけさきインタビューにて。草島叶実さん×しゃけを音声で聞く

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