ブロードウェイのミュージカルに関して正直にいうと、ニューヨークに住んでいても、ブロードウェイの近くにあるオフィスビルで働いていても、ミュージカルをそんなに観たことがないので、楽しみ方がわからない。
きっと東京に住んでいても、歌舞伎座へ行って歌舞伎を観たことがないとか、能楽堂が東京にはたくさんあるけど、能や狂言を観たことがない、大阪に住んでいても宝塚歌劇団を観たことがないというノリなのかもしれない。
そうであるにも関わらず、ダンサーとしてブロードウェイFunny Girlに出ている岩井麻純(いわいますみ)さん、日本人の女優でダンサーが出演しているという噂を聞きつけて、取材をお願いしたのだった。
まずはミュージカルを観ておいてからと、一人でFunny Girlのシアターへ。年齢層は幅広く、若い女性から、ご高齢なカップルや女性同士でも来ている。ユダヤ系でコメディアンとして成功した女優さんの実話をもとにした内容だからか、白人率が高い。
バーブラ・ストライザンド主演の映画を観ておけばよかったのだけど、下準備が足りず、演劇の内容だけはざっと把握して挑んだ。ニューヨーク、ブルックリン出身の喜劇女優ファニー・ブライス(1891 – 1951)の半自伝的ミュージカルで、1964年にブロードウェイでバーブラ・ストライザンドの主演で初演後、
同じくバーブラ・ストライザンド主演で1968年に映画化されてから更に人気となった。
全く音楽も聞いてなかったため、音楽を聴いても、なじめない。お隣の白人女性が大声で笑っているけど、笑いのツボもわからないまま、前半が終了。主演の女性の歌唱力や、ダンサーさんたちのダンスは素晴らしいし。ワタシ的な見どころとしては、音楽を知らなかったので衣装とダンス。
駅を行き交う人たちが着ている衣装の時代背景はファニーが活躍していた時代のものなのでデザインはロングスカートだったりするのだけど、とてもカラフルな色使いで今っぽく見えた。
ファニーを取り巻くダンサーの人たちのしなやかな動きが、ファニーの滑稽な動きと不思議とあっていた。主演の女優さんが、ダンサーの人たちより背が低いというのも、珍しい光景だと思った。ますみさんはアジア系なのだけど、背がスラリと高く、まったく見劣りすることのないシャープなダンス。
取材中に知ったのだが、この主演の女優ジュリー・ベンコは、オリジナルキャストではなかったらしい。歌唱力は素晴らしく、コミカルな演技が抜群に魅力的。聞いたことない曲だったのに、素晴らしい迫力ある歌声に影響されたのか、感動でラストはいつの間にか涙ぐんでいた。<取材・執筆 ベイリー弘恵>
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