監督デビュー作品「ランドロマット・オン・ザ・コーナ ー」がオンライン映画祭でベストムービー 賞を受賞!自主映画人、伊地知徹生(Ijichi Tetsuki)さんvol.4

伊地知徹生(いじち てつき)Ijichi Tetsuki twitter Instagram
京都府出身 サンフランシスコ→サンタフェ→フィラデルフィア在住
レイン・トレイル・ピクチャーズ(RAIN TRAIL PICTURES)CEO
タイドポイントピクチャーズ(TIDEPOINT PICTURES)CEO
日本映画を全世界にグローバル配給
上映、配信の推進、コーディネートなどと併行し、
自作監督短編映画「ランドロマット・オン・ザ・コーナー」を完成
カルト・ムービーズ国際映画祭でBest Fantasy Short Movie賞を受賞
同作の長編映画化を企画中
著書「自主映画人ガイド」をkindle出版 
twitter @IndiePro2 ツイッタースペースにて、映画界を語るルームをシネマプランナーズ社と共同で開催中(隔週日曜日の朝10時より)
しゃけさんと「映画の中の家族・夫婦・男女の描き方を検証する」ルームをクラブハウスでオープン準備予定

左からステファニー・パムさん(Ming役)、伊地知監督、エリック・スロディスコさん(Josh役)

しゃけ:
伊地知さん、4回目の登場ありがとうございます!前回のインタビューはこちらです。映画祭に出品中の「ランドロマット・オン・ザ・コーナー」がカルトムービー国際映画祭のベスト・ファンタジー・ショート作品賞を受賞したとのこと、おめでとうございます!!

伊地知さん:
ありがとうございます。やっぱり賞をいただけるのは嬉しいですね。コロナのためすべての映画祭がオンラインなので見てくださった方々から直接感想をいただけなかったのが残念ですが、とても嬉しいです。ありがとうございます。

これで2つの短編作品賞をいただきました。どちらもジャンルはファンタジーフィルムで受賞しました。そして気がついたんですけど、あれ、ホラー映画ではなかったんだって(笑)
しかし、最初から最後まで自分がすべての責任をもって作ったのはほぼ初めてだったので、重圧はありました。今までは周りに巻き込まれて作っていたんですが、今回は自分がみんなを巻き込んでいく側だったので、このような賞をいただけて本当に嬉しいです。

ステファニー・パムさん(Ming役)エリック・スロディスコさん(Josh役)

しゃけ:
ご自分で脚本を書いて監督した作品「ランドロマット・オン・ザ・コーナー」は納得のいく出来上がりでしたか?

伊地知さん:
そうですね。テーマ音楽がとてもいいと思います。もしかしたらこの音楽を乗せるためにこの映画を作ったのかもしれないと思うほど、自分で納得しました。ずっといろんなジャンルの音楽を聴いて相応しい音を探していたんですが、ピアノなのか、バイオリンなのか、シンセサイザーなのか・・・。なかなか決められなかったのですね。ある日、中国スタイルのマッサージ店でかかっていたBGMに「これだ!」とひらめきました。映画の主人公が中国人なので中国の弦楽器だ!と思いついて、その二胡を弾ける人を先ずフィラデルフィアで探したら一人だけ見つかったんです。これが素晴らしい出会いでした。

2014年にサンタフェからフィラデルフィアに移ったんですが、その時東海岸の英語の発音に戸惑ったんですよ。フィラデルフィアは、人種のるつぼのニューヨークとは文化が違うんですよね。英国辺りの厳格な英語というのかな。ドイツ移民も多かったみたいですし。西海岸のレイドバックな英語が通じなかったんですよ。それで仕方なく、地元のコミュニティーカレッジのESLクラスに一年間通って発音の矯正とフィラデルフィアの訛りに慣れるような努力をしました。

主演から相談を受ける伊地知監督 撮影地フィラデルフィア

まもなく、テンプル大学で映画配給についての特別講師をやったり、地元で盛んにトーク付きの映画上映会を催したりしたんですが、「本当にやりたいことは何なのか?」と考えれば、やはり映画作りなんですよね。誰と映画を作りたいんだろうとふと考えたときに、そのテンプル大学で生徒だった、台湾出身の女性が思い浮かびました。というのは、彼女の卒業制作の作品が良かったからです。彼女に監督をしてもらおうと。それで一緒にストーリーを作り始めたのですが、途中でその子のキャリアへの気持ちが変わってしまったんですね。彼女は、コマーシャルや企業映画の制作からIT技術系の仕事に方向転換してしまいました。

そうして、初期の脚本は共同でしたが、彼女が監督を降りてしまった後は、他に企画を理解している人もいなかったので、ネイティブのライターを入れて撮影用の脚本を完成させ、「自分が撮ろう」と決心したわけです。それが2019年の暮れですね。そして、2020年の5月にフィラデルフィアで撮影をしました。撮影期間は7日間です。アメリカではノン・ユニオンでも1日長時間働くことがないので、1日10時間前後、それ以下で撮影予定を組んでもらい、70時間以内で撮ったことになります。

古いコインランドリー内撮影現場でクルーとキャストに囲まれる伊地知監督

資金は妻の友人が予算の半分以上を出してくれ、残りはクラウドファンディングでした。妻は車椅子生活なので、僕が撮影で家にいない間は、ヘルパーさんに介助していただきました。その間妻にいろいろと我慢をしてもらったことを感謝しています。撮影後、編集に4か月ほどかかり、2021年に出来上がりました。僕はシューティングする前にほとんどのシーンを絵コンテで描いていたんですが。そのおかげで比較的にスムーズに撮影できたのかもしれません。このあと、企画ができている2本の作品をつなげて、長編製作できればいいな、と思っています。これら全部は幽霊ものです。

しゃけ:
わー、夢が広がりますね!kindle本も1作目が出来上がったところですか?

電子書籍の小冊「自主映画人ガイド・映画祭編」の表紙

伊地知さん:
はい。「自主映画人ガイド・映画祭編」というタイトル通りのガイド本を書き上げました。あと二つ(三部作の予定)を書いたら、一冊の紙の本にしたいと思っています。残りの二つは、配給の法則編(仮題)と映画作りの裏技(仮題)編ということを予定しています。実はサンタフェ時代に、アメリカのインディーズ映画でウエイター役(台詞付き)でちらっと顔を出したこともあって。そういう話も書いていこうかと思っています。私の体験や知識を他の人、特に映画作りを始めた人に伝えられたらと思っています。

伊地知さんが出演した米国インデイーズ映画

しゃけ:
前回はDVD事業から配信へというところで終わっていたんですよね。続きをお話していただけたら嬉しいです。

伊地知さん:
そうでしたね。2010年前後から北米のビデオ市場は小さくなって行くんですが、その頃からホームビデオが配信にシフトしていくな、と感じて「レイントレイルピクチャーズ」をサンタフェで立ち上げます。そのころ配信事業がシリコンバレーから始まっていたんですが、取りあえず、iTunesから作品をダウンロードして映画を見るという鑑賞方法でどのくらい販売ができるのかを、配給作品「紀子の食卓」(2006年園子温監督)でチャレンジしました。分かったことは、一部強いスポットライトを浴びた作品であるのにただ棚に置いておくだけでは人はダウンロードして見ない、ということです。そこで配信についてのリサーチとコネクションづくりを早速始めました。

リサーチをして、ホラー映画専門の配信会社を見つけました。それが「Shudder(シャダー)」という会社です。アメリカの大手ケーブルテレビ局AMCが運営していますが、大手のテレビ会社が次々と配信事業に参入して来たんですよ。そこへ、「紀子の食卓」(園子温監督)、「女優霊」(中田秀夫監督)などを出すことができて、それが「ヒロシマ」へもつながったのですね。それから資金力のある放送局が配信事業を始めることが多くなり、こちらも配給先の窓口が増えました。

そこで、北米向けだけでなく全世界向けて、日本やアジアのインディペンデント映画を配給、配信していく事業に特化していきました。

しゃけ:
レップ契約というのは基本は何年というのは決まっているのですか?

伊地知さん:
決まってはいませんが、弊社は最初は1~2年で契約で始まります。毎年更新可能なので、順調にいくと7~10年一つの作品に関わることにもなります。国や権利によってもライセンス契約の仕方が変わりますし、エクスクルーシブか、ノンエクスクルーシブか、というのでも違いがあり、ノン・エクスクルーシブであれば同じ地区やテリトリーに多重に契約をすることができます。

例えば、「ソンランの響き」(ベトナム映画)の配信契約も含めた配給営業では日本、英国、フランス、北米への配給契約を結び、配信だけの契約は、ポーランド、オーストリア、ニュージーランド、ブラジルなどと契約を進めています。

しゃけ:
コロナもあり映画館の収益が落ちていると思いますが、これからは配信中心になっていくと思いますか?

伊地知さん:
映画館はなくならないとは思いますが、ミニシアターなどの在り方も変わってくると思います。たとえば、1000万円で作った映画が、500万円以上国内の映画館での収益がないと、次の作品には進むのが難しくなってくるでしょうかね。

ただ今まではカメラなどの機材が高かったので映画を作るのは予算がかかったのですが、これからは個人が低予算で作れる時代が来ていると感じます。iPhoneで撮影や編集ができるようになるかもしれませんね。また、映画祭自体が独自の配信ブランドを作っていく動きもありますし、日々新しい上映露出やその宣伝の仕方が生まれているはずです。

見る場所も世界中どこからでもスマホで見れるというのが技術的には可能ですが、やはり、見たいと思ってもらえなければ見てもらえないというのは変わってないはずです。まずはこういうインディペンデント映画があるんだということを世界に知ってもらうためにはこれからも工夫が必要だと思っています。

今年の抱負とでも言えますが、「ひろしま」と同様に、50年代に作られて、今でもそのテーマが再度浮かび上がってくる作品「キクとイサム」(今井正監督作品・キネマ旬報ベストワン作品・1959年)の世界配給に携われることです。この作品は、黒人と日本人の間に生まれたハーフが日本人社会で生きていくドラマです。見た目が固定観念の日本人らしい日本人に見えない日本人についてのドラマです。

しゃけ:
楽しみにしております。クラブハウスでも引き続きどうぞよろしくお願いします。

伊地知さん:
今ツイッターのスペースで、映画づくりをしている仲間たちと、映画界の色々を語る「映画つくる部」というルームを開催していますので、この連載での色々なトピックスをそちらで続きが出来ればと思っています。開催は、日本時間の隔週日曜日の朝10時からです。
クラブハウスでも「映画の中の家族・夫婦・男女の描き方を検証するルーム」をしゃけさんとオープンするつもりですので、いづれかお目にかかれるでしょう。

伊地知さんの手書きの絵コンテをこちらで見ることができます↑

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