ジャパンカッツ!10周年リリー・フランキーさんがNYへ

ジャパンカッツ!ジャパンソサイティーで行われる日本映画祭は今年で10周年を迎える。2003年にニューヨーク・ジャパン・シネフェストにて「美代子阿佐ヶ谷気分」を上映したことのある坪田義史監督は、ふたたび映画「シェル・コレクター」NY上映のため、3年後の7月21日にジャパン・ソサエティにやってきた。

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数週間にわたり、さまざまな日本の映画を上映する中、同映画が上映された日は満席だった。客席は、日本人よりアメリカ人のほうがはるかに多い。映画の上映前、坪田監督のスピーチがはじまった。

坪田監督はニューヨークへ来て雑多な人種に囲まれたとき、自分の好きだった米国の作家アンソニー・ドーアの短編小説を、日本で映画にしようと考えたのだという。

映画上映中は、とても静かだったが終わると同時に大きな拍手がわきおこった。質疑応答のため主演のリリー・フランキー、坪田監督、プロデューサーのエリック・ニアリがステージにあがった。この作品で、リリーさんはCUT ABOVE賞 for Outstanding Performance in Filmを受賞しトロフィーが授与された。

会場にきていたアメリカ人女性に映画の感想を聞くと「とてもいい作品だったわ」と、感無量という感じだった。35年ジャパンソサイティーの会員らしく、日本の映画を観続けているそうで、どの作品もとても素晴らしいという。

ご夫婦できていたフィオリーナも「とても美しくて素晴らしい作品だった」と感想をのべた。「海中の中で優雅に泳いでる亀が美しかったですよね?」と聞くと、「あれはきっとCGだよ」とご主人。

しかし質疑応答のとき、亀専用のカメラマンが亀にはりついて撮影していたと話していたと思ったのだが。坪田監督に質問してみるとやはり亀は本物でカメラマンが撮影したものだという。リリーさんを深さ5メートルの底に沈めて実際に撮影しているほどの監督なのだから、亀がCGであるはずがない。この映画は、本物の海や海に暮らす生物の美しさが描かれているのだ。

孤独を愛するがゆえに孤島に一人静かに暮らしていた盲目の貝類学者が、海岸へ流れ着いた奇病をもつ女性を助け一緒にくらしはじめる。学者が採取していた人間の命をうばうほど猛毒をもつイモガイに、アクシデントで刺されてしまった女性の病が治癒するのだった。

今度はイモガイを求めて奇病の患者や家族、そして長い間はなれていた実の息子までもが学者のもとへやってくる。孤独を愛する人にさえ、社会はその孤独を通すことを許さないのだろうか?血のつながる家族を永遠に自分の心の中から切りはなすことはできないのだろうか?と考えさせられるテーマも映画の中にある。とても美しく芸術作品としても評価されるべき映像なので、ぜひ劇場にてスクリーンで観てほしい。(敬称略 取材\執筆\写真  弘恵ベイリー)

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