第2回 ニューヨーク・ジャパン・シネフェストが6月7日よりアジア・ソサイティーで行われる。
私も第1回目に見に行ったが、会場は満席だった。
ニューヨーカーたちは、日本の監督がつくったり、日本にまつわる映画にとても興味を持っていたようだ。
黒沢監督の7人の侍をパロディー化した、ジャスティン・アンブロシノ監督のThe 8th Samuraiなどは、昨年、同映画祭で上映された後も
続々と映画祭で受賞を続けている。まだ若い監督だが、クリントイーストウッドが「硫黄島」をつくったときに
使ったというキャスティングカンパニーに依頼して、日本の役者さんたちを集めたという。
だからか役者さんの演技力も高く評価できる作品である。
同じく昨年に上映された鈴木やす監督の「Radius Squared Times Heart」に出てくるお料理は、食べ物というより、もはやアート作品。
バックに流れる音楽も映像とマッチして素晴らしい。著作権をとるために奮闘したというエピソードもある。
日本人の監督が創り出す、ニューヨークの街の風景もこれまたアート。
今年も秀作ぞろい。主催者によると一度この映画祭で上映した作品は、二度は上映しないというポリシーがあるので、「あ、これは見てみたい」と
いう作品があれば、このチャンスを見逃さないほうがよいだろう。
私の主観ではあるが、気になる作品が二つ。
ジェフ・ソーサ監督の「The Hirosaki Players」、俳優が古谷一行さんというところもいい。青森の劇団がNYで1日だけパフォーマンスをするが、
開演ギリギリになって騒動が起こる。
坪田義史監督の「美代子阿佐ヶ谷気分」。原作の安部 慎一が漫画家であり、漫画雑誌「ガロ」などに掲載していた短編を集めて映画化したという作品。彼の生きざまをフィクションも交えて描いている。
過去に、エロ漫画の世界での活躍期があったり、新興宗教に染まったり、精神分裂症を発症したこともあり、酒にもおぼれたりなど、かなりシュールな時期もあった。
今はそれを乗り越え、創作活動を地元、福岡で続けているという。
そんな安部の退廃的な暮らしも坪田監督の手により、昭和時代の浪漫ともいえる美しい映像に生まれ変わった。
ちょっぴり色っぽい部分があるのも気になる。昭和時代を知るためにも、昭和時代を懐かしむためにも、一度は見ておくべき作品である。
(執筆:ベイリー弘恵)
ニューヨーク・ジャパン・シネフェストの今後の発展のためキックスターターをやっています宜しくお願いします!
http://www.kickstarter.com/projects/1443229390/2013-new-york-japan-cinefest/
チケットはアジア・ソサエティチケット窓口、もしくはウェブサイトから
https://tickets.asiasociety.org/public/default.asp
会場:アジア・ソサエティ 725 Park Ave New York, NY 10021
プログラム詳細:
プログラム1:6月7日(金)開場:午後6時 上映:午後6時30分~8時30分
Hypnocus-Pocused, 監督:ヴィクター・タダシ・スアレス、2011、13分、心理スリラー
Usagi-san, 監督:パトリック・ディッキンソン、2013、24分、ドラマ
SVA is… , 監督:Who-Fu、2012、2分、アニメーション
Once More, 監督:高岡ヒロオ、2010、24分、ドラマ
The Bridge, 監督:シェルダン・シュワルツ、2008、10分、ドラマ
Sayonara, 監督:エリック・ベイツ、2011、4分、アニメーション
Mojave’ 43, 監督:トーマス・タケモトーチョック、2013、20分、ドラマ
The Hirosaki Players, 監督:ジェフ・ソーサ、2010、20分、ドラマ
午後8時30分~10時半:レセプション
プログラム2:8日(土)開場:午後3時30分 上映:午後4時~5時30分
『リリタアル』、監督:泉原 昭人、2011、8分、アニメーション
『Matou』、監督:平林 勇、2011、4分、エクスペリメンタル
『663114』、監督:平林 勇、2011. 8分、アニメーション
『スクリプト』、監督:アルベルト・ベントゥラ、2010、29分、ドラマ
『へいたいがっこう』、監督:伊藤 早耶、2012. 15分、アニメーション
『転校生』、監督:金井純一2012、20分、ドラマ
『自転車』、監督:ディーン・ヤマダ、2009、22分、ドラマ
プログラム3:8日(土)開場:午後6時15分 上映:午後6時45分~8時45分
『美代子阿佐ヶ谷気分』監督:坪田義史、2009年、86分、ドラマ