最高傑作!The Aologizersニューヨーク・ジャパン・シネフェスト2018レポート

6月1日にNYで開催されたNYJCF<ニューヨーク・ジャパン・シネフェスト>、7回目を迎え、2018年の今回、同シネフェスト創始者の一人である、鈴木やす監督の作品「The Apologizers」を楽しみにしていた。

The Apologizersは、やす監督が自身が発想し、脚本も手がけた。舞台挨拶では「テクノロジーの進化により、デバイスがどんなサービスでもやってくれるようになった現代だからこそ、逆に謝罪という人間のための基本的なサービスを本当に人間がやってくれたら面白いと思って生まれた映画です」と語った。

作品の素晴らしさは言葉では表現できないが、ニューヨークの人間模様を描く役者たちのリアルな演技と、クールな情景がとにかく素晴らしい。

ブルックリンから見える高層ビルがひしめくマンハッタンの美しい風景、そしてApologizersである日本人ビジネスマンの二人が、ビルに描かれている巨大なストリート・アートの前にあるベンチに座って会話しているという存在感のギャップ、ニューヨークのオフィスビル内部のクールなデザインなども楽しめる。

「ラーメン屋を演じてるときに、北九州の地元の言葉がついて出てきたのだけど、その効果があったのか、リアル感がでてたと思います」と、俳優Jun Kim。彼の演じるラーメン屋のオヤジは頑固な感じで、濃いキャラクターでとても存在感あった。Apologizersの仕事中には、謝罪するばかりの二人なのだが、なんともいえない二人の表情と口調が、なぜか笑える。「とにかく楽しんで作ることのできた作品です」と、やす監督。

作品は通しで飽きることがなかったので、編集の技術力もあると思ったのだが、編集を担当したのはSoojin Chung。彼女に作品の編集で苦労したところなどあったのか聞いてみると、「とにかく楽しいばかりの作品で、楽しんで編集できたので、まったく苦労がありませんでした」と話した。

初日に上映された作品では、Sugihara Survivors『杉原千畝を繋いだ命の物語』も上映され、梶岡潤一監督がロンドンから招かれた。同作品は1940年7月から8月にかけ、外務省の規則をやぶり、大量のVISA(通過査証)を発給し、およそ6,000人にのぼる避難民を救ったことで知られる杉原氏に感銘をうけ、杉原氏の残したアルバムにあった人々との面会を果たした北出明氏を描くドキュメンタリー作品。

梶岡潤一監督は、本映画に出演しているデボラ、ディヴィッドとニューヨークで3年半ぶりに再会を果たしたという。

観客の一人であったヤコブ(写真右)は、最初は、今日上映された作品の中で好きだったのは、And So We Put Goldfish in the Pool(埼玉に住む女子高生が、平凡な日常から脱したいためか、プールに大量の金魚を放ったという本当にあった事件をコミカルに描いた作品)が、よかったと言ってたのだが。

「僕のお爺さんもユダヤ人だったので、ロシアにいた頃とても酷い目にあったんだ。Sugihara Survivorsは僕にとっても感慨深いものがあったよ」と語った。ニューヨークに住むユダヤ系の人々は多いので、日本にもユダヤ系の人々を救った杉原氏がいたことを作品を通じて知ってもらえるといいと思った。

ニューヨーク・ジャパン・シネフェストは、回を増すごとにアメリカ人の観客が増えている。日本映画や文化の素晴らしさをアメリカ人に知ってもらうためにも、長く続けてほしいと願う。

<敬称略 取材・撮影 ベイリー弘恵>

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