ジブリの名曲がNYで新たな舞台へ『Reimagined Worlds』歌×ピアノ×タップで魅了
ニューヨークの小さな舞台から、またひとつ新しいショーが生まれた。
10月2日、マンハッタンのSt. Peter’s Church(The Sanctuary)で開催された『Reimagined Worlds: A Cultural Bridge in NYC – Featuring Music from Studio Ghibli』を観劇した。
スタジオジブリ作品の名曲を、ピアノ、日本語・英語による歌唱、そしてアメリカン・タップダンスという組み合わせで再構築したクロスカルチャー・コンサートだ。
大劇場で観るブロードウェイ作品とはまた違う。距離の近い空間で、アーティストたちの息遣いや表情まで感じながら作品を楽しむ。どこかオフ・オフ・ブロードウェイの舞台を訪れたような、ニューヨークらしい親密さがあった。
なかでも印象的だったのが、このショーをプロデュースし、自らステージにも立った伊藤聖沙(いとうせいさ)さんの歌声。
まるで「歌のお姉さん」を思わせるような、明るく澄んだ透明感のある歌声が、軽快で楽しいタップダンスと不思議なほどマッチしていた。
振り付けを手がけたのは、アンドリュー・ブラック(Andrew Black)さん。作曲家である久石譲(ひさいしじょう)さんがジブリ作品のために生み出した、やさしく温かな音楽と、アンドリューさんによる振り付けによってタップダンスが自然に溶け合っていた。
ダンサーたちも実に楽しそうだ。
足元から響くタップのリズムに、歌とピアノが重なり、ステージから伝わってくる「音楽を楽しんでいる」という空気が、そのまま客席へと広がっていく。
松下愛美さんのピアノは、いつまでも聴いていたくなるように美しい。心に染み入る流れるようなメロディーだったり、明るく楽しい軽快なリズムや、ジブリの作品に描かれる広い大地が目に浮かぶような音色も、誰もが知るジブリのメロディーに新しい表情を与えていた。
日本で生まれた音楽に、ニューヨークで歌とアメリカン・タップダンスが加わる。
「文化の架け橋」という公演タイトルが示すものを、難しい説明ではなく、ステージそのものから感じることができた。
今回の公演は、Lower Manhattan Cultural Council(LMCC)のManhattan Arts Grantを得て実現したものでもある。
そして公演後、プロデュースを手がけた伊藤聖沙さんは、このショーを今回限りで終わらせるのではなく、今後も続けていきたいと語った。
ニューヨークでは、小さな劇場や舞台から始まった作品が、観客との出会いを重ねながら少しずつ育っていく。
『Reimagined Worlds』も、そんな作品になっていくのかもしれない。
そして、この日のステージを何より雄弁に物語っていたのは、帰り際に聞こえてきた一人のお子さんの声だった。
「あーーー、楽しかった」
心の底から出てきたような、純粋な言葉に、思わず「カワイイねぇ~。」と、母親に手を引かれながら、階段を上っているその子に注目してしまった。
歌も、ピアノも、タップダンスも、文化交流というテーマもある。
そして、舞台を観終わった子供から自然に「楽しかった」と声が漏れる。
それこそが、このショーの魅力を一番シンプルに表していたのかもしれない。
この小さな舞台から、これからどんな世界へと広がっていくのか。次のステージも楽しみにしたい。

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