第3回シカゴ日本映画コレクティブ「世界は僕らに気づかない/Angry Son」レビュー

3年目となるシカゴ日本映画コレクティブ、選りすぐられた強力なインディペンデント長編映画10作品ラインアップでハイブリッドで開催された。劇場上映作品の中から、7月1日のクロージング『世界は僕らに気づかない』のレビューをネタバレしないように、書いておこう。

映画とはまったく関係なのだけど、私の義理妹は、フィリピン系で大人になってからカナダへ移住してきて現在はNY在住。フィリピンのお国柄なのだろう、アメリカの各地にいる親戚といつも連絡をとりあったり、集まったりするようだ。

ある時、「テキサスで姪っ子が結婚したの（フィリピン系の女性）」って言ってお相手の写真を見せてくれたが、普通に白人女性だったりする。しかも精子提供を受けて子宝にも恵まれている。

それが一人や二人じゃなく、親戚の中に同性婚が何人もいたりするので、『まだ私の日本の親戚の中には同性婚っていないなぁ〜っ』て、面食らったものだった。フィリピン系の人たちは、LGBTQに対してかなり前から寛容なのだ。

日本はつい最近になってから、ジェンダーフリーのトイレができてみたり、これから追いついていこうとしている感じ？

それでも、この映画の中でゲイの長男をもつ日本人家族が、パートナーとのお付き合いに対し、普通に接している点から、なんとなく変化してきているのだね。

シングルマザーでフィリピンパブで働く主人公のママは、若くて元気で美人なので、パートナー選びの点から、『マジか？』ってちょっと思った。

もうず〜っと前の話になるけど、NYのとある企業の第一線で働いている日本人のビジネスマンが日本人妻を捨て、フィリピンパブで働いてた女性とお付き合いをはじめたって人を目の当たりにしたことがあるので。

外国人差別に関しては、ちょっと映画の話の流れには逆行してしまうのかもしれないけど、『日本にいる外国人をバカにしている日本人は、世界を知らなすぎるんじゃないか？』というのが、正直な私の感想である。

しかし、今の日本にこうした外国人差別があるのなら、とても悲しい。

LGBTQに在日外国人差別問題、そしてシングルマザーの貧困問題という3つが混在する複雑なお話だけど、主人公の葛藤する姿がとてもリアルで、こっちまでイライラさせられるほどだった。

ぜひ皆さんにも同映画祭クロージングの上映作品なので、観ていただきたい！

さてさて、今回オンライン上映の８作品（ナラティブ４作品、エクスペリメンタル１作品、ドキュメンタリー３作品）はプラットフォーム「eventive」を使用し、全米からの視聴が可能となる。主催はシカゴ日本映画コレクティブ実行委員会で、設立者の坂本有紀（Coyote Sun Productions代表）と共同設立者の河野洋（Mar Creation代表）がプロデュース。後援はFULL SPECTRUM FEATURES、CATCH US PERFORMING ARTS。

今回の映画祭のテーマは「再生」。コロナ渦中、社会問題となった「ASIAN HATE」や「BLACK LIVES MATTER」といった人種の分断、ウクライナとロシアの紛争にあった国同士の分断。普段の生活の中にも家族、夫婦、友人、さまざまな理由がもとで分断が近年大きく浮き彫りになった。そうした分断を乗り越えて、再生していく大切さ、切れた糸も修復ができる。そうした強いメッセージを伝える作品群を集めたという。

【オンライン視聴】（全米）

＋開催期間：２０２３年６月２３日（金）〜７月１日（土）２３：５９（米国中部時間）

＋登録料:

ALL ACCESS PASS（8回視聴券）