NYリトルインディア

 

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 第四十五号 04/29/2000
      Harlem日記
       
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*******NYリトルインディア*******

イーストビレッジに住んでいた頃、すぐ近くにインド(6Ave.1-2Ave)があった。グロッサリーに入ると「タバコにもスパイスが入ってんじゃないの?」ってなくらいにインドの匂いなのだ。スパイスも当然のように陳列してある。

だから、この通りを通っただけでスパイスの黄色い粒子を見てしまうような錯覚に陥る。

友人から「日本人の口に一番あうカレー屋は6ストリートのファーストアベニュー沿いにあるの。2階にあがっていくんだけど、そうそう、あのチカチカネオンのまぶしい店。」と聞いたので行ってみることにした。

「並んで2店舗あるけど、右側よ。絶対左側に入っちゃだめ。」と釘をさした。

なるほど、同じ店構え。そして呼び込みも激しい。黒服を着たピンサロのポン引き兄さんみたいなインド人が入り口で熾烈な闘いをくりひろげている。
「こちらへどうぞー。」
「いえー、こちらへー。」

と手をひっぱられて、もぎとられちゃうんじゃないかと不安になるほどである。

進行方向右側、間違いなく確認して友人に聞いた店に入る。

唐辛子状のクリスマスツリーの飾りみたいな豆電球がチカチカピカピカ、天井いっぱいに吊り下げてあるせいか、天井が頭のすぐそこまで迫っている。狭いのであった。閉所恐怖症の人は泡を吹いて倒れてしまうかもしれない。

そんな中、インド人、数人がてきぱきと働く。きちんと黒いパンツに白いシャツで決めている。だが、オーダーしようとしても無視されるのが妙だった。「この無礼者!」と怒鳴りそうになったが、英語が通じないことに気付く。英語のしゃべれるウェイターがやってきてようやくオーダー。

銀色の小さな器に赤、レモン色、苔みたいな色のソースセットを運んでくる。カリカリした薄焼きのせんべいみたいなのも同時に持ってくる。焼きたてのようで温かい。ハーブとゴマの香りがほんのりと漂う。

私がオーダーしたのは鉄板に入ったままのシュリンプカレー。ジュウジュウ焼きたてのカレーではないが、これが熱いカレーとぷりぷりしたエビのコンビとなって、パサパサの白いご飯とマッチすると、そこはもうインド。

目を閉じるとNYにいることを忘れてしまう、この空間。バックにはなにやら妖艶なインドの音楽、ビョォーンビョビョビョーン。

アイスクリームを口にすると、ホッと一息。さっぱりしたミルク味。

おっと、酒の話を忘れてしまうところだった。ここのインドカレー屋はリカーライセンスをとっていない。よって酒は持ち込み放題。ワインを持っていけば、ちゃんとグラスも用意してくれる。ワインを抱えてデートしてるカップルが多い。わしらはとなりの香辛料臭いインディアンデリでビールを買い込む。

どんなに酒を飲んでもチャージされないから、飽食したとしても最後に渡されるチェックは、夕食3人分が日本食レストラン1人前の料金程度。あまりの安さに驚かされることこの上ない。

<<<没ネタ公開>>>
*******セリフ*******

気の利いたセリフというのは日本人男性には難しいものである。

特に恋人ともなると、どうやって彼女の心をゲットするのか?などというノウハウ本が日本では出てるくらいだから…

彼は初デートの別れ際、車に乗る前にどぎまぎしていた。アメリカ人でもさすがに、こういう時は緊張するのだと思った。軽く唇にふれて、

「最初のデートでキスを嫌がる女性もいるけどToo lateだよ。」と笑いながら言った。

30をはるかに超えちまった女にこのセリフは歯が浮きそうだったが、まだ心も体もピュアーだった時代にもどったようにドキドキしてしまった。

以前付き合っていた男からメールが届いたときのセリフに話をきりかえよう。別れた後にも、しつこく会いたいといってきていたのだが、「僕はきみのピエロでもいい」とよく使われるフレー
ズにあるが、「I can be your Monkey!」だった。直訳すると「僕は君のサルでもいい!」のである。

サルでもいいんかい。

彼はそれから、私の会話に登場する際の代名詞として’サル’という名で語り継がれ、ある日、「日本の女性と結婚することになった」というメールを飛ばしてきた。友人にその旨を話すと、

「日本ザルつかまえたんだー、彼もやるじゃん。」

その後、サルの行方は定かではない。

プエルトリカンは詩の朗読が大好きだ。黒いレザージャケットをまとって、ブルルンと排気量いっぱいにエンジンをふかしたハーレーに股がり、頑丈な太い右腕には赤いスネークの刺青を入れた兄ちゃん(どんな兄ちゃんじゃい)

「僕の瞳の中に映る赤いバラ、そう、それは美しい君。」

似合わないー。と爆笑しそうだが、言ってしまうのである。こんな私が’バラ’呼ばわりされたことも胸を悪くしそうである。

しかし、こういった彼らのセリフを一生忘れることは無いかもしれない。やっぱり印象に残る臭さは、ある意味で大切だと思う。

という以上の名言をまとめると、言ってしまったもの勝ち!なのだ。

日本の男性は照れくささの為か、臭いセリフを使わないので、行動で愛情を示そうとする。抱きしめるとかそういった行為は、瞬時には効果的だが、時間と共に印象が薄れる傾向にある。

言語を支配する左脳の方が、長期記憶中枢に印象を留めやすいというところか。

気に入った女性がいたら、一度はくさいセリフとやらを使ってみよう。それでふられても、私は責任を負わないが。

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