Lenox Lounge 改装オープン!<2022年現在クローズ>

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 第四十四号 04/22/2000
      Harlem日記
      
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******Lenox Lounge 改装オープン!*******


友人ハルちゃんと久々にハーレムをHung Around。

St.Nicks Pub<149st StNich Ave>へ10時過ぎに行く。入口の看板のネオンが消えていて暗かったが、店内は既に半分以上席が埋まっている。白人7人くらいのグループに加え、私たちの隣には日本人観光客5人もいる。後はブラックのカップルがほとんどである。

ジャズが始まるとハルちゃんは2曲目で既に飽きてしまったようで、ソワソワおしっこをがまんするワン公状態。
「ハルちゃん、もう出たいんでしょ?」
「うーん、実はさっきから、いつ終わるんだろう?ってどうしても思ってしまう。」

今日のバンドは今ひとつピンとこない。テクニックはあるけど、個性が無い。飽きてしまうのもしょうがない。20分くらいで店を出る。
「さっき日本食食べたのに、もうお腹すいちゃった。これだから太るのね。」といいつつもハルちゃんはPopeye(KFCライバル店)へ。

夜11時というのにブラックの人だかり。カップル、老人の集団、男の子3人組といった様々な客がフライドチキンやらフレンチフライをオーダーしている。

プラスティックの壁をはさんだ向こうにはブラックの若い女性5,6人がやる気もなさそうにトロトロと働いている。スローフードと改名したほうがよさそうだ。

ハルちゃんは「ポテトフライ!プリーズ。」とオーダー(『フレンチフライ』って言えよー)案の定、ふたを開けてみるとブラウンライス。

「ひぇーエイジアンだと思って馬鹿にしてるー。ライスだけなんていくら日本人でも食べないよー。」

ハルちゃんがフレンチフライに取り替えに行ってる間に、店内を眺める。隣の席には体育教師みたいにくたびれた紺色上下スウェットを身につけたホームレスのおばあちゃん。手首には文字の書いてある白いプラスティックバンド。なんじゃらほい?

コクリコクリと眠りについている。ファーストフードの店なのになぜかチャイニーズフードの食べ残し。フォークの入ったままの容器におばあちゃんの指が進入。べったりとチャイニーズのドロドロソースが細くて黒い指にからみ付く。それに気付くことはない。

その席の隣には4人のおじいさん。一人は大声でわめいている。手には数枚のノートサイズの写真。気軽にのぞいていたが、目にした途端にハッと息をのんだ。大柄なブラックの女性の髪をわしづかみにする白人警官。

「俺は一度も犯罪を犯したことなんてない。」
「見ろ!この女が何をしたかは知らない。ポリスの態度は・・・」
繰り返し訴える。「俺には犯罪歴ないぞ。」
写真とじいさんのコメントがちょっと噛みあわないが、「まあいいか。」と店を出る。

「Lenox Lounge<125st Lenox Ave>がリニューアルオープンしたらしいから行ってみよう。」

私はスパイシーなフレンチフライをぼそぼそ食べるハルちゃんと、ハーレム125丁目をウエストからイーストへ横断。

入口は以前と変わらない様子。中へ入ると、おーっとゴージャス!!ちょっといかしたホテルのバーみたいに透明感のあるボトルを反射してレインボーに輝くカウンター。ボロボロのお化け屋敷だったころの面影は存在しない。

奥のジャズクラブへの扉は葉模様のスライドガラスに重厚な木枠が高級感をかもし出す。ラフなスタイルの私はフラフラした野良犬みたいにスライドガラスの向こうをのぞく。

黒いタートルセーターを着たハンサムなベースのブラックの兄さん。グランドピアノを弾くのはタキシード姿のブラックの中年プレーヤー。彼らは演奏の真っ只中である。

30人以上の客はソファーに腰掛けてたり、サイドのバーに立っていたり、落ち着いた面持ちだ。ほとんどが白人客である。

「あれっ?カーネギーホール?」一瞬錯覚してしまった。
黒いドレスやタキシード姿の中高年層カップル。

マッチ売りの少女になった気分の私に、おいうちをかけるかのごとく、タキシードのドアマンが、「Excuse me Miss. 20ドルアドミッション2杯ドリンク付だよ。」(20ドルー高すぎるここはハーレムだぜ。)よろけながら手前のバーカウンターに座り込む。

男前白人ゲイカップルまで、バーの隅でおしゃべりしている。改装前は黒人じいさんのたまり場だったバー。

私の隣に座っているコーウェンは60過ぎの男性。
「ハーレムで生まれてハーレムで育った。」と語る。
「ハーレムも生まれ変わったわね。」と私。
「昔に戻っただけさ、歴史は繰り返すんだ。昔は安全で静かな場所だった。何も変わっちゃいない、当時と同じだよ。」

彼はハルちゃんと私にさり気なくお酒をご馳走してくれた。

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