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第二十号 01/13/2000
Harlem日記
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*****就職戦線*****
日本だと就職活動といえば決まって職安へ行ってリストを見たり、就職雑誌で就職口を探し、気に入った企業へ履歴書を送るという作業から始まる。
さて、NYに来て仕事を探そうと思った場合。エージェンシーというのを通すケースが多い、就職斡旋業者ってところか?
NYでまず失敗したのは、某エージェンシーに行ったことだった。教育ママを二乗して0.338をかけたようなおばさんが初めての面接相手だった。彼女はとってもなれなれしく「こちらへ是非来て下さいね。」と甲高い声で電話を切った。
レジュメ(履歴書)を見て彼女は「短大卒ではないですね?と確認。」短大卒だと企業から相手にしてもらえないらしい。
「こちらでは、日本の優秀な大学を出て、こちらでも大学を卒業しているにも関わらず、就職先が見つからなくてレストランでアルバイトしてらっしゃる方がたくさんいらっしゃるのよ。」と口火を切った。
「あなたのようにビザもなくて、英語も達者でない場合は就職は厳しいと思います。」おばさん、はっきり言うやん!
このばばあ(失礼)は真っ赤な口紅とブラウンのアイシャドーが濃いのは、まるで打撲のようだった。派手な茶色い毛に、いまどきどこでかけてくれるのか驚くほどの、たてロール。
「もし、あなたがレストランでも本気で勤めてマネージャークラスまで昇進する覚悟があるのでしたら個人的にご紹介しますよ。サービス業にご興味がおありですか?」
相変わらずたかーい声で彼女がまばたきするたびに起こるつけまつ毛の風速をひそかにカウントしながら、「えー、もちろん。」と心にもない返事を、大きな声でしていた。
あーあ、白いシャツと黒いスカートまでわざわざ買ったのに会社じゃなくて、レストランに面接かーとがっかりしたものだった。(今思うと分不相応な落胆。レストランを紹介してもらえてラッキーだったと言える。)
「面接は必ず正装で行ってくださいね。礼儀正しくお願いします。大手商社の社長や外交官の方が利用される店だから、気に入っていただけるとよいですね。」と高らかに笑った。
面接に初めて行った日に、店の雰囲気と和服のおばあさんを見てたまげた!店は高級そのもので、きれいな和服に身を包んだウェイトレス。高そうな和服のおばあさんはからくり人形のようにお座敷をカクカクとねり歩く。女将だった。彼女はやり手だ。この年になっても従業員とマネージャーを仕切っていた。
面接はマネージャーと女将の娘。
「その金髪はお客様に対して印象が悪いので黒に染めてください。」ときっぱりと言われた。
とりあえず合格だった。
これを書くのが夢だった。就職活動時に「エージェンシーのうんちくを書いてやるー」と心に誓いながら生きてきたのですー。涙、涙、なみだー。