
第二回シカゴ日本映画コレクティブに出品中の映画、「高津川」を観させていただきました。泣けたー!3回ほど号泣してしまった。なぜだろう、何が起きたというわけではないのに自然に涙が流れる不思議な体験。
日本人の誰もが、この映画の中の誰かに、何かに、必ず共感する部分があると思います。すべての人が主人公。
おばあちゃんの台所とその食事がリアルすぎて映画だということを忘れそうに。一瞬ドキュメンタリーかと思いました。おばあちゃんにとっての「当たり前」は、近所の川で釣った魚を焼くこと。庭の野菜を採ってきて夕飯を作ること。そこにあったスイカが今日のおやつ。
オーガニックだの地産地消だのそんなの「当たり前」。お父さんの仕事を息子が継ぐのも当たり前で、結婚し子供ができるのも当たり前。
そうだろうか?高校2年の息子は進路に迷います。地元のお祭りで神楽を舞うかどうかで迷います。地元が、家族が、好きだからこそ悩む。「受け継いでくれ」と言ってほしい。
次の世代につなぐバトンが、本人の希望と一致していれば問題はない。「東京の大学へ行き弁護士になりたい」もしこれが息子の夢だったら?息子の夢を叶えるためにはお金がいる。そのうえ親には孤独が待っている。
300年続く和菓子の店を継ぎ、母親の介護をして、地元の役場で働きながら伝統行事を大切にする女性。選択肢は無限にある。でもその中で地元に残ると決める人達は地元を出ていく仲間たちをどんな気持ちで見送っているんだろうか。
消えていく大切な人たちと伝統文化。
そんななか、少子化により廃校になる予定の小学校で最後の運動会が開催される!
高津川は静かに流れ続ける。泣けるのは音楽がこれまた素晴らしいからかもしれない。主演の甲本雅裕さんも最高でした。