菊池 梨緒(Rio Kikuchi)Instagram
東京出身 ニューヨーク在住
Nai-Ni Chen(ナイニーチェン)Dance Company所属
アーティスト・コンテンポラリーダンサー・講師・バレエ歴20年・中国舞踊
3歳 クラッシックバレエを始める(週6日バレエ漬けの毎日)
タップダンス、ジャズダンスを習う
バレエのコンクールで入賞し、サマープログラムとしてNYへ
17歳 留学 The Ailey School(NYにある、モダン・ダンススクール)
2017年 コンテンポラリーダンスを始める
Nai-Ni Chen(ナイニーチェン)Dance Companyに合格
カンパニーディレクターのナイニー氏からコンテンポラリーダンスや中国舞踊を学ぶ
公演(ニューヨーク州、ニュージャージー州など)
アメリカ国内ツアーに参加
教育プログラムで公共の学校で公演
カンパニー独自のテクニックKinetic Spiral 講師
しゃけ:
コンテンポラリーダンス、初めてYouTubeで観させていただきました。素晴らしかったです。エンターテイメントというよりは「体を使った芸術作品」という感じがしました。
梨緒さん:
ありがとうございます。私の所属しているNai-Ni Chen(ナイニーチェン)Dance Companyでは、アジア文化をイメージした作品が多いので、太極拳の技やカンフーの動きを取り入れたコンテンポラリーダンスが特色です。中国舞踊だけのプログラムもあります。
公演はニューヨーク州とニュージャージー州で行うことが多いですが、アメリカ国内のツアーもあって色々な州を訪れることができます。
教育プログラムで公共の学校で公演をすることもありますね。ありがたいことに、毎月何かしらのパフォーマンスがあるので忙しくしています。講師としては、カンパニー独自のテクニックKinetic Spiralのクラスを一般の方に向けて教えています。
私は3歳の時からずっとモダンバレエをしていてバレリーナを目指していたのですが、ジャズダンスやタップダンスもやっていました。
2017年にコンテンポラリーダンスを知った時に、「これだ!」とのめり込んで今に至ります。バレエも大好きなんですが、コンテンポラリーダンスをお仕事にできてとてもラッキーだと思っています。振付師の方の方針にもよるのですが、バレエよりもコンテンポラリーダンスの方がダンサーの意見や気持ちが反映されやすいと思います。
しゃけ:
アメリカで働くためのアーティストビザを取るだけでも大変なのに。有名なカンパニーに入るのも相当狭き門ですよね?
梨緒さん:
そうですね。O1ビザが欲しいですが、私はまだP3ビザなので毎年ビザの更新があります。毎日が戦いというか、気が抜けませんね。
カンパニーのオーディションは数十か所で受け、何度も落ちました。私が仕事を探していた年のNai-Ni Chen Dance Companyは女性2名、男性1名を募集していました。
200名くらいの応募者の中から選んでいただけたのでとても嬉しかったです。最終選考まで3日間オーディションが続きました。幸運なことにその年はバレエのできる人を募集していたようなので。
しゃけ:
バレエの世界も厳しいですよね?やめたいと思ったことはなかったのですか?
梨緒さん:
他に興味のあることがなにもなかったので(笑)テレビはほとんど見たことがないし、漫画も読んだことがないです。ほぼ毎日バレエを踊り、YouTubeで憧れのバレリーナ(ロイヤルバレエ団の吉田都さんやマリアネラ・ヌニェスさん)の動画を見ていました。
高校時代は学校までの往復に4時間かかっていたので、ちょっときつかったですが、休んだことはほぼありませんでした。
しゃけ:
体調が悪いとか、気分が乗らない日はないんですか?
梨緒さん:
ありましたけど。「休みたいなら自分で連絡をしなさい」と言われていたので、どうしても自分から電話をする気にはなれなかったですね。母から「休んではダメ」ではなく、「あなたが好きなことをしなさい」と昔から言われていたんです。
NY留学も最初は夏だけ、それから1年だけ、と行かせてもらったのですが、もっと居たくなった時、コロナやアジアンヘイトを心配してくれた日本のみんなは「帰っておいで」と言ってくれました。でも母の「あなたの好きなことをしなさい」という言葉が響いて、NYに残ることに。ビザのことがあるので一度帰ってしまともう二度と戻れないのでは?という不安もずっとあります。
しゃけ:
NYはアーティストにとって素晴らしい場所だと思いますが、家賃や物価が高いし、経済的にも大変なのではないですか?英語は問題ないですか?
梨緒さん:
家賃高いです!物価も高いです!ルームメイトと二人で住んでいるのですが、私はシングルベットを置いたらあとは歩けるだけくらいの部屋で月に910ドル払っています。ルームメイトはもう少し大きな部屋で940ドルです。二人で共有のリビングなどはついていますけど。遊ぶお金はなくて。食事はほとんど自炊、豚汁と白米とかを食べています。
英語は好きでしたが、なにも話せない状態で留学を決意しました。英会話教室などに通ったこともないです。でも、NYで知り会った最初のルームメイトに基礎から教えてもらい、今では日常会話は問題ありません。
しゃけ:
わ。すごい!やはりダンスという世界共通語があるから友達ができやすいのでしょうか。
梨緒さん:
そうですね。私のもともとの性格はとてもシャイなんです。話すことも得意ではないので、友達にすごく感謝しています。
踊っているときは人格が変わったように自信満々というか、「私を見て!」という感じになるので、結構驚かれますね。踊っている時とても幸せなので、昔から「踊ることを仕事にしたい」と思っていました。
しゃけ:
その夢がNYで叶っているのですね、すごい!

梨緒さん:
まだ夢の途中です。NYはダンスの種類も多いし、素晴らしい振付師の方がいて、やりたいことや学びたいことはまだまだたくさんあるんです。頑張れば頑張っただけ結果が出るというのは負けず嫌いの私には最高の場所でもあるので、できればずっとNYに居たいですね。
技を極めて、たくさんのコリオグラファー(振付師)に知っていただきたいし、私の好きなカンパニーのHubbard street dance Chicago やLimon danceを目指したいです。
日本ではコンテンポラリーダンスの知名度は低いと思うので、いずれは自分のコミュニティーを作ってコンテンポラリーダンスに触れる機会を与えられるような人間にもなりたいです。
しゃけ:
素晴らしい!これからも応援しております!一番幸せを感じる瞬間は拍手をもらう時ですか?
梨緒さん:
実は公演が終わった瞬間は「やり切った!」という気持ちが強すぎてあまり覚えていないんです(笑)舞台の上演中は観客の皆さんからパワーを受け取って、「もっとできる!もっとこうしたい!もっと見て!」となり、ゾクゾクとした興奮が強いですし。
振りを通しで頭の中で考えながらリハーサルに向かう途中、その移動時間にとても幸せを感じます。今日はどうなるだろう、ってワクワクしすぎて幸せなんです。
2作品目から全ての作品に出演した菊池梨緒さん
菊池梨緒さん×しゃけ 音声インタビューはこちらから聞くことができます。