ボディコンをデザインした神デザイナーはNYに君臨していた〜矢野よしみ

今回、バブル時代のOLのボディコンを着てダンスをしていた2017年に日本高校ダンス部選手権・ビッグクラスで準優勝した大阪府立登美丘。

私は、以前にこのボディコン旋風を巻き起こしたデザイナー矢野よしみに取材したことがあったのを思い出した。

日本にてPinky&Dianne(ピンキー&ダイアン)に9年勤続、バブリーだった日本にボディコン旋風を巻き起こしたファッション・デザイナーだ。当時は、5つのブランドのデザインを任されて、1シーズンに300パターン以上のデザインを手がけていたという。よって睡眠時間は3時間だけだったとか。そんな生活にピリオドを打ったのは、1989年のベルリン崩壊がきっかけ。「これから世界は変わっていく、狭い日本に閉じこもってないで世界に飛び出さなくては!」とパリへ進出することを計画。

フランス語を使うパリへ旅立つ前に、英会話くらいできなくては、ということでニューヨークにて1年間、英会話学校へ通うことにした。デザインの仕事をやりながらだったせいか、学校へ行く暇もなく思ったほど英会話が上達しなかった。そのままニューヨークに3年滞在することになる。そしていよいよパリ移住も実現するのだが、3年半後にニューヨークへとんぼ返り。なぜニューヨークに舞い戻ったのか?

「ニューヨークで、とても刺激的で楽しい時期の真っ只中にパリに移動したせいか、パリってエネルギーの乏しいところだって痛感しました。パリ・コレクションの時期には、世界からお洒落な人が集まるから活気がでるけど、それが終わると閑散としてて、そんなにお洒落な人もいないし・・・。その点、ニューヨークは常にエネルギーに満ち溢れてるんです。だから自分のデザインの仕事にも、やる気が出てくる。結局3年半でニューヨークに戻りました。

とはいえニューヨークのファッションは好きじゃないんですけどね。ニューヨーク(アメリカ)はストリート・ファッションなんです。ジーンズやTシャツ、ちょっとフォーマルでもジャケットとパンツってスタイル。それに比べてヨーロッパ(ミラノ・パリ)のファッションはモードで、コーディネートを楽しむ。バッグやシューズにスカーフ、ニットなどを組み合わせることによって、お洒落を演出するんです」

ニューヨークはモードの最先端!なんていう日本のファッション雑誌のタイトルになっていたりするが、私もニューヨークに来てみて驚かされた。お洒落な人はファッションに携わる一握りの人。ほとんどがジーンズにTシャツとスニーカーで、平気でシミがあったり破れてたりする洋服を着てることもあるんだから。そんなニューヨーカーのファッションにヒントを得て矢野さんは?

「やはりデザイナーという限りはアートさせたい!だったらニューヨークではTシャツが私のキャンバス。私のデザインするTシャツのブランドはT-24-365って書いてTee Timeって読むんですけど、24時間365日、いつでも身につけられるって意味なんです。昼間はTシャツにジーンズでカジュアルに、そのままのTシャツでウールやシルクのスカートかパンツにはきかえれば、ビジネスでも、フォーマルでも着れるようデザインしてるんですよ。

(首から下、腰から上を示しながら)特に、胸の部分って座ってても立ってても目に付く部分なんです。ジャケットを着てても、ここだけは見える。だから特に、この部分にデザインを施して自己表現をする。」T-24-365はTシャツに、貝殻やスパンコール、皮革、その上オートクチュールにしか使わない高級な素材を使ってデザインしているのだ。

「ニューヨークに来たての頃は、アメリカ人に溶けこみたいって思ったな。あまり日本人同士で固まるのはいやだなぁ~なんて(笑)。それでも住んでて長くなると、日本人の気質にある繊細さや、きめ細かなものを作ることができるという日本の技術力やカルチャーに自信を持つようになったんです。今はニューヨークを住む場所に選んだ日本人だということがプライド。

もともと白と黒と赤が好きで、私のデザインするものには白と黒に必ず赤が入ってます。ラベルのデザインにも赤が入ってるので、赤の意味は?って聞かれると『日の丸の赤です』って答えてるんです。」日本人であることによって、素材の買い付け等がスムーズに運ぶことも多いのだという。それは、お金はキッチリ払うという日本人の生真面目さをアメリカで認められてるからだとか。

デザインをしていく上でニューヨークと日本との違いは?
「日本と違ってアメリカでは、洋服のボタンや芯、アクセサリーのパーツなどといった材料をホールセールで、個人にも売ってくれます。日本だと、企業のバックアップみたいなものが必要だったりするんですけどね。そういった意味では個人のデザイナーが自由にデザインしていけるという土壌を与えてくれる、可能性を与えてくれる場所なんです。

日本って個性があったら爪弾きにあう社会じゃないですか。白黒はっきり主張をする人は一匹狼として嫌われるし、私は元々そういう性格なんですが(笑)。ニューヨークでは逆に意思を持っていないと何もやっていけない。主張することの方が、大切なんです。カラーでいえば日本はグレーで周りに溶けこむべきって雰囲気。私の好きなカラーである赤は日本の市場にはないんです。ニューヨークに住むことによって私のスタイルが生きてきました。トレンドばかりを追っていては、良いデザイナーにはなれません」

デザイナーを目指す日本の若者にアドバイスは?
「どうすればデザイナーになれますか?なんて言ってる子は、その時点でダメ!私は15歳の頃に、デザイナーになろうって思った瞬間に、通信教育でスタイル画を学んでました。デザイナーって『縫える、デザインが描ける』っていうのが基本かなぁーって漠然と考える間もなく、即、行動に移したんです。デザイナーになるのに近道はない。ニューヨークでデザイナーになりたいって勉強してる人は無駄な一年を過ごしてないですね。ものすごいパワーがあるし、可能性もある。

ニューヨークに来たけど、他にやることもないし、デザイナーにでもなろうかなぁ~なんて人はちょっと・・・。私のオフィスにはインターンとして学んでる人が多くいますが、そういう人って3日も続かないんですよ。その代わり、やる気のある人は長く続く、3年以上続いた人もいます。日本に帰ってデザイン事務所を立ちあげようとしてる元アシスタントもいます」

アメリカでビジネスをしていくのにはどうすれば?
「会社を立ち上げるのは、弁護士料、申請料など1000ドルくらいあれば、できてしまうから簡単なんですよ。資本金は1ドルからでOKですし。私のビジネスでは、事務所の日本人スタッフ以外、生地を買うショップ、縫製工場や、洋服を売るショップそしてトレード・ショーなどと日本人以外との交渉が100パーセント。縫製工場ではシンディーというチャイニーズの女性をビジネスパートナーとして信頼していて、長い付き合いです。

『きれいな洋服をつくらないと、時代にとり残されていく』という彼女の意思から、アメリカにある縫製工場には珍しく、きれいな縫製の洋服を創ってくれるんです」

インタビューにて、とても驚かされた話を加えておこう。
「カモフラージュ・プリントが流行すると、戦争が起こるんですよ。不景気だと色がなくなる、世の中が元気だとカラフルなものが売れる。デザイナーは肌で時代(未来)を感じてるのかもしれないですね。パリコレなんかで、ほとんどのデザイナーが、同時にフリルのデザインを出してきたりすることもあるんです。もちろん他のデザイナーを意識してるわけではなく偶然。それって人間の気持ちがデザインに反映されているのか、デザインに同じ形として出てくるんです。」ちょっぴり怖くて、不思議な現象。デザイナーって未来を予知する力も持ってるってことなのかもしれない。確かに、デザイナーが時代の先端じゃないと、誰も流行にのれないな。

「今、世界に向けて私がやりたいこと。もちろん洋服が私の自己表現の場だから、自分がデザインしたTシャツで『世界平和』を訴えたい。私のTシャツの売り上げの一部をユニセフなどの寄付金にしていく。教育は大切ですよね、教育さえしっかりされていれば、戦争を起こすというリスクも少なくなるはずだと思うんです。」

日本人だということをプライドにしているが、アメリカ人うけする絣や着物の生地をつかったデザインのものは作らないという。それは、自分のスタイルじゃないとのだとか。どこまでも自分らしさを重んじる。デザイン・コンセプトはFuture(未来)でポジティブなチャレンジ精神をイメージしたもの。アクリルの透明感と、金属音のするようなシャープな洋服を作っていきたいそうだ。

現在は日本在住なので、高校生たちのダンスの衣装についてコメントをいただいた。
「高校生達のダンスはパロディとして楽しんでいます!そして日本にいて大変な時には、未来を信じて迷いなくデザインし遊んでパワフルに生きていた自分に勇気や刺激を貰っています」<敬称略 取材・撮影 ベイリー弘恵>

【プロフィール】
矢野よしみ
1997年 YANO DESIGHN STUDIO INC,をニューヨークに設立
2000年 New Concept Line T-24-365 tee time

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