母と兄が日本からやってきた(1997年ごろの話なので、まだツインタワーがあった)。 友人なら5thアベニューだブルーミングデールでお買い物だのと買い物ツアーに放っておけるが、 母や兄はそんなものに興味がないのである。 さてどこへ連れて行こうか?と考えた末Hop on and Hop offのバスツアーに乗る事にした。このバスツアーは日本の「はとバスツアー」とちょっと異なる。ガイドが乗っていて要所要所を回る際にその場所にまつわる歴史や統計を解説してくれるところは同じだが、好きなところで降りて自由に好きな時間だけ行動し、定期的に回ってくる同じ会社の別のツアーバスに乗ることができるのだ。
私たちはミッドタウンからツアーを始めることにした。 もちろん二階だてバスの上段へ飛び乗った。 赤いボディーに黄色い窓枠のデザインはいかにもNYなのだが、 乗ってみると座席がボロボロ。 吹きっさらしのせいかシートカバーのところどころに穴が空いていたり、 背もたれが外れていたり。
それでもバスが走り出しバスの上段から見るブロードウェイは、 普段歩いていたり、 自転車に乗って回っている光景とはまったく違って、 もっときらびやかに感じられる。 ブロードウェイのショーの看板もすぐそばに迫ってくるようだ。 たくさんの人が交差点を渡る姿を上から眺めるのも気持ちいい。
Macy’sからエンパイアーステートビルディングを横切りダウンタウンへ行く。 ガイドが案内してくれているのだが、 英語のわからないヨーロピアン、 私の家族は、 当然まったく聞いていない。 看板の工事をしているおじさん達が手を休めて、 皆で手を振ってくれた。 観光客の面々は「うぉ~~~」というどよめきと共に手を振りかえした。 信号機も手が届きそうな位置にあるから頭がぶつかりそうでちょっと怖かった。

ジェーコブ・ジャビッツ・センター付近の高架下を抜けるとハドソンリバー側の景色を展望。 自由の女神がほんの少し見えると、みんなが大騒ぎしながらカメラを構える。 ツインタワーの高さを目にすると東京だよおっ母さんよりもはるかに驚いている様子である。 「わーこのビル何階建て?」とビルを見上げて聞く母であった。 私も何階建てかは知らない。バスはバッテリー・パークでしばらく停車した。 この地点で降りる客が多いので、乗ってくる客待ちなのだろう。
チャイナタウンにはチャイニーズばかりがうじゃうじゃと闊歩している。さっきまで大きなビルがそびえていたのに、 本当にアメリカにいるのか?というくらいにまるで中国のような街並み。看板には赤い文字の中国語がなぐり書きされていたり。 黄色に赤い中国語の書かれている看板も多い。建物はビルよりも平屋といった雰囲気。母が「ハーレムには黒人ばかりなのに、 ここはチャイニーズばかりなのね(現在はハーレムもチャイナタウンも少しばかり人種がミックスしてきているが)」地域ぞれぞれの違いに驚かされている様子。
イーストリバー側をまわって再びアップタウンへ向かう。国連まで来た時に、 時差ぼけ軍団の母と兄がウトウト眠りにつきはじめたのでバスを降りる事にした。
今時のバスには、ガイドらしいガイドはいなくて、それぞれがイヤホンをつけてガイドを聴くツアーのようだが、日本語でもガイドがあるので安心できる。いろいろと範囲も広がっているので、ツアーに参加するとよいかもしれない。
【関連リンク】
●NY在住のライター堂本かおるさんがハーレムを案内するハーレムツアー
●Hop on and Hop offのバスツアー