第三回ニューヨーク・ジャパン・シネフェストをレポート

第3回 ニューヨーク・ジャパン・シネフェストが6月12日にアジア・ソサイティーで行われた。 映画の始まる前に監督さんや俳優さんたちが舞台にあがり会場に集まる人たちに挨拶をした。すでに映画を観る前から熱気ムンムンという感じ。 日本の映画がアメリカで上映される機会は少ない。だからか同映画祭で日本の映画を観ることで、日本の美しさや文化の素晴らしさをあらためて感じることができるのも醍醐味である。 DSCN1721ドキュメンタリー作品から、コメディーにアニメーションとバラエティー豊富なので飽きさせない。あっという間にすべての映画を観終えた。

今回上映されたのは、6作品。Sci-Fiコメディ「ワンダーフット先生の大失敗」から始まった。この日、同映画に出演した俳優の近藤司さんも会場に姿を見せた。グリアー・ディル監督、ブレット・グラス監督にいくつか質問してみた。なぜアメリカ人の監督が日本の作品を作ったのか?という問いに、黒沢明監督の映画が好きで、日本映画に興味を持ったという。今回の作品は、まったく黒沢映画とは違うコメディー映画だが、これをきっかけにもっと日本の作品をつくっていきたいのだとか。 ワンダーフット先生の発想は、これもまた日本人発明家であるドクター中松の活躍にヒントを得た。真面目な部分とコミカルな部分が散りばめられ、日本の笑いのつぼも心得ている作品だ。

私が個人的に気に入ったのは、インディーズ・アニメーション「Junk Head 1」。制作者はほぼ一人で、4年かかった作品というだけあってビルの渓間のようなところを落ちていく速さとスリリング感がたまらない。背景の細かい部分まで本当によく描かれている。登場するキャラクターのデザインもロボットから不気味な未来の生物まで、すべてに個性があってカワイイという言葉がぴったりはまる。 YOUTUBEでも作品が再生できる。

おそらくアメリカ人に人気だったであろう作品は「MINKA」。藁ぶき屋根の日本家屋が解体寸前のところ、アメリカ人ジャーナリストと日本の学生が鎌倉へ移す計画を立てる。描かれているのは、民家のもつ美しさはもちろん、二人の民家に対する熱意と、日本建築を担う職人である大工さんたちの魂だ。 福島の子供たちの現実を少女とトンボのアニメーションで伝える「ABITA」。「リトル東京レポーター」は1935年、ロサンゼルスにて世界恐慌の中、リトル東京で賭博や売春といったヤクザな世界がはびこっていくのを阻止しようと戦った新聞記者の事実に基づいた作品。すでに様々な映画祭で18も受賞している。 アイルランド人の英語教師と、防空頭巾をかぶった少年との交流を描く「京太の放課後」は、心温まる作品だが、きっと震災後に心の傷を癒せないでいる子供たちは今もいるのだろうなと考えさせられるものでもあった。

(執筆:ベイリー弘恵)

 

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