タイムズスクエアのど真ん中にあるハードロックカフェで行われたZAMZAファンの集いに参加した。
その際、時間が限られていたこともあり、残念ながら全メンバーにはお話を伺うことができなかったが、
ボーカルの辻仁成さんやベース(元JUDY AND MARY)の恩田快人さんに、
直接お話をさせていただいた。
辻さんは、会場にてインタビューで皆の前で、
「人間はそれぞれに個性があり、違っていて当たり前なのだから、世界の人々が皆、
同じである必要はない」といったことを語った。
学校でも会社でも皆は同じであるべきだという日本にいると、
恐らく辻さんはその自らのスタイルを崩さないという部分で、
反感をかうこともあるだろう。
だが、アメリカはそんな辻さんのスタイルを受け入れることができる。
それは、生まれ育った環境も違う、価値観も違う人々が
暮らしている街だから。
まさに彼のいう「違っていて当たり前の世界」なのだ。
他民族エリアでは、考え方やスタイルなど違っていて当たり前。
かえって統一することこそが大変。たとえばフライトアテンダントの
決まりごとマニュアル本は、果てしなく分厚いのだとか。
だからこそ彼の個性は、アメリカでさらに磨きがかかると思った。
そして観客にも受け入れられるに違いない。
昨年に続き、アメリカ人ファンはさらに増えているようだ。
それは、辻さんのキャラクターが日本では一般的な枠を超えているとしても、
個性という面で、彼自身が本来の日本的な面を創り出しているからだ。
アメリカにいるからといってアメリカに染まるのではなく、
どことなく大和魂を感じさせる。
アメリカ人は皆、
彼の侍のような頑固な魅力にとりつかれるだろう。
辻さんに対し、リーダーである恩田快人さんは、
メンバーの個性をうまくまとめていく人のようだ。
ベーシストでありバンドの音楽をプロデュースしている一人。
好きな音楽をやることを楽しみに生きているという、まさに音楽で生計を
立てていこうって人が、羨むことのできる存在。
それはJUDY AND MARYで爆発的にヒットする前から同じなのだとか。
「売れることを目指して音楽をやってきた訳じゃないから、売れなかったとしても
満足していると思う」と潔くいう言葉に、ちょっとだけ羨望を感じた。
それは、これまでに売れて結果を出した人が言える言葉なのだ。
ニューヨークには、アーティストとして頑張ってる人が、山のようにいる。
テクニックだってアメリカ人をうならせる日本人がたくさんいる。
何年音楽を続けていても、日本でもアメリカでも、
特に注目されるわけでもなく消えていく人もいる。
もちろん、注目されることだけが、結果ではないとわかっている。
だが、もし売れていないアーティストが、恩田さんと同じ
「売れなかったとしても満足している」と同じ言葉を吐いたとすれば、
それは周囲が聞けば、負け惜しみでしかなくなる。
つまり、恩田さんは日本で成功し、実力もあり自信のあるベーシストであるからこそ、
周囲に認められ、たくさんのアメリカ人にも認められる日がやってくるのに違いない。
彼らが目指すのは、ヨーロッパではなくアメリカだとか。
それは、ロックンロールという彼らの音楽の原点が、アメリカにあるからだという。
以前、
JUDY AND MARYのメンバーに、スタイリストが用意した、とあるブランドの
衣装をつけようとして反発したことがあるという恩田さん。
実は当時、バンドが売れることにとらわれず、60年代の
アメリカのレディースロックの原点にこだわったという。
残念ながら、今はロックンロールでなく、
マジョリティーがレイディー・ガガやブラック・アイド・ピーズを聴いてるアメリカ。
とはいえ近頃、マンハッタンよりもカッコいいと言われている、
アーティストが多く住むブルックリンのヒップなエリアには、
ハンパない数のロックンロールファンが集まるバーがある。
まずZAMZAが攻めるべきなのは、そうしたZAMZAのメンバーが愛するロックと同じ
ロックを愛する世代に訴えかけるべきなのかもしれない。
明日にはきっと、油くさい真っ黒な革ジャンを着た男たちが、ハーレーにまたがり、
ZAMZAの鉢巻をしてハイウェイでスピードを上げることだろう。<弘恵ベイリー>
【ZAMZA NYライヴ情報】
Oct20-2010 Bowery Poetry Club during the CMJ Music Marathon & Film Festival.
Zamza will be playing with Boom Boom Satellites.
Web:http://www.bowerypoetry.com/
【関連リンク】
ZAMZAオフィシャルウェブサイトhttp://zamza.info/