お気楽トンボのブロードウェイ~Rent

あれは去年の秋の終わり頃だったでしょうか。いつものようにポートオーソリティーのバスターミナルを抜け出て、小雨降る中、足早に劇場街の42ストリートへ向って歩いていた時のこと。ガーンっ!!ああっ!!聞いてはいたけど…聞いてはいたけど…ないっ!無くなっているっ!

1996 年にブロードウェイでの開幕を果たし、以後12年とロングランが続いたあのロックミュージカル『Rent』の看板がもはやナイっ!!そしてそして壁一面 の、オリジナルキャストが一列に整列した写真と共に、その感動が日一日と刻まれた、ファン達からの熱いメッセージの数々も・・(まあ、落書きっちゃあ、落 書きなんだけどネ。。)ないっ…!!無いよーーっ。そう、全てがベリベリッと引き剥がされ、開幕以来、毎日毎日あの名曲♪Seasons of love♪を響かせていたNetherlander  Theatreに、Rentの姿が影も形も無くなっていたのである・・。ああ・・寂しいねぇ。。。

コアな“レントヘッズ”なるファンまで生み出したロックミュージカルとして有名な『Rent』。
私自身はそんな“レントへヘッズ”を名乗れるほど、微に入り細に入りと詳しい訳ではないのだけど、とにかく音楽がめちゃくちゃ好き。

今 までも、ブロードウェイで初めて観劇して以来、日本公演初演や来日公演、昨年夏の、オリジナルキャストであるAdam PascalとAnthony Rappのブロードウェイ舞台復活版等など、細かく記録をつけるタイプでないので、自分でも何回観たのだかわからなくなっているけど、とにかく毎回音楽の 素晴らしさに感動したもんです。。

レント日本初演時、あの時はマーク役の山本耕史君があんなに歌が上手いのを知らなくて、その器用さに驚いたなあ。Anthonyのマーク役のイメージそのままだったし。

で、実は昨年12月にちょっと日本へ一時帰国した際に、東宝でレントがまた新たに上演されていることを知り早速観て来ました。

今回は日本初演時とは本当に色んな部分が今までと違っていて新鮮。演出のエリカ・シュミットさんの試みは斬新だったし。あんなに踊るマーク(山本未來さん)初めて見たな。

でも、なんだろうな。。多分、私は、今回の日本キャストやスタッフの方達からみたら、いや~なタイプのお客になってしまっていたかも。柔軟性のない…ね。

やっぱりね、つい頭の中で、オリジナル演出と無意識のうちに比べてしまったのです。

舞台装置は、オリジナル版のパイプや簡易な机・椅子だけのシンプルな無機質なイメージのものより、ずっと具体的にビジュアル化されていて、どちらかというと映画版を意識したような造りだったかな。

け ど、あれ~ロジャーの部屋の段を下手側に下りたそこは一体どこなんだろう??アパートメントの上階の一室のはずなのに…どうしてそこからも人が入ってくる んだ??とか、ドラッグクイーン役のエンジェルのスカート丈は、もっと思い切って短くしちゃって~!ヒール履いちゃって~!ぶっ飛んだイメージ宜し くーーっ!!とか…くだらない事が頭を巡り。

でも、途中で気付いたんです。そういうのって、やっぱり観る側の責任っていうか、こっちの想像力が足りなかっただけなのかと。

あの時、日本で、ある俳優さんインタビュー目当てで買った新しく創刊されたばかりという演劇雑誌『プルミエ』に、たまたま今回のレントの日本人プロデューサーさんのインタビュー記事が載っていて、読んで色々納得。

確 かにレントの中では「戦争の反対の言葉は平和じゃなくて創造だ」なんて言っちゃうくらい、そのスピリッツは芸術至上主義的でまさにボヘミアン万歳の世界。 だから今回、演出のエリカさんはそのスピリッツにのっとって、クリエイティブにすごいことに挑戦されたのだなあ、と改めて思いました。

例 えば、前に書いたような、舞台装置の大幅な変更や、レント好きにははずせない、あの♪La Vie Boheme♪の指さし振り付けのとりやめなど、BW初演以来長い間ずっと繰り返され、引き継がれてきた『Rent』の演出を打ち破り、新たな挑戦をたく さんしたわけですから。

実際、今回の日本人キャストの皆さんはライブとかで歌い慣れていそうな、ロックテイストばっちりの歌の上手い方達 ばかりでレントの持つ音楽のパッションが感じられて本当に楽しめたし良かったんですよ。かつて作者ジョナサンがロジャー役を探している時、リアリティを出 す為に当時本当の売れないロックバンドのボーカルをしてたAdamをオリジナルキャストに起用したくらいだから、やっぱり、どうしても、この『Rent』 という作品にはロックテイストとか、ハングリー精神・・・みたいなキーワードは重要なんだろうな、と実感しましたし。

でもね、でもね、それでも私は声を大にして言いた~いっ!今回日本で新演出による日本人版『レント』を観て思ったこと。

確 かに『Rent』は音楽が最重要ファクターであるかもしれないけど、やっぱりそこはミュージカル!キャラクターの感情や関係性を伝えるのに、お芝居心だっ てとっても大事だと思うのです!歌が上手いだけじゃあ、歌がロックなだけじゃあ、ミュージカルとしては、やっぱりあまり成り立たない。

翻 訳した歌詞で日本でミュージカルの良さを伝えるのって、確かに色んな課題があって、つくづく難しいとは思うけれど、それでも、そんな壁をブレイクスルーす る、まさにレントスピリッツを伝える新生レントがもし次に日本でまたあったとするなら、イメージ先行の何もロック歌手さんばかりではない、今度こそ正統派 ミュージカル俳優さんによるレントを是非観てみたい!=(お気楽トンボ)

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