黒木 璃七(Liana Kurogi)
ミュージカル女優・パフォーミングアーティスト
東京 → アイダホ → ニューヨーク在住
幼少期:ミュージカル『オズの魔法使い』小学校で配られたチラシに興味を持つ、『アニー』初めてのオーディションへ
10歳:帝国劇場『モーツァルト!』アマデ役でデビュー
新橋演舞場『花街酔虎伝』出演
ミュージカル『スコア!』【主演】
NHKドラマ『つるかめ助産院』『はじまりの歌』出演
FMラジオドラマ『青春アドベンチャー』(NHK-FM)にて『あたたかい水の出るところ』『チョウたちの時間』などに出演
2020年:単身渡米し、アイダホの大学に入学 (ダンスカンパニーに所属)
2022年:大学に行きながら、アメリカ西海岸ダンスツアーに参加
2023年:AMDA(The American Musical and Dramatic Academy)に編入
ミュージカル『Urinetown』で演出家賞受賞
2024年:NYに拠点を移す『Broadway in Bryant Park』オープニングダンサーとして出演
『A-broad’way Cabaret』(The Green Room 42)出演
2025年7月:オフ・ブロードウェイ作品『Mr. Puppy The Musical』(AMT Theater)出演
2025年8月:『The Diary of Yoko Moriwaki』出演 (広島原爆投下についての作品に日本人キャストとして参加)
2025年〜2026年:国際的パフォーマンスアートフェスティバル『Performa 2025 Biennial』にて主要キャストに抜擢
└ 2025年11月(ニューヨーク)、2026年6月(ロサンゼルス)出演予定
└ 全米テレビ放送も予定されている
しゃけ:
Lianaさん、初めまして。アメリカの大きなパフォーマンスアートのオーディションに合格したとのこと、おめでとうざいます!
Lianaさん:
ありがとうございます。髙山 まりさんに紹介していただきました、黒木 璃七(Liana)です。どうぞよろしくおねがいします。
しゃけ:
公開できる範囲で構いませんので、作品の詳細を教えていただけますか?
Lianaさん:
はい。2025年11月に発表予定のライブパフォーマンス、『Performa 2025 Biennial』(パフォーマ・ビエンナーレ)のメインキャストに選ばれました!
この作品は、1960~70年代の反戦運動カルチャー(特にベトナム戦争時代)をテーマに、当時のロック、フォーク音楽、映像、語り、身体表現を組み合わせた、実験的なライブパフォーマンスです。
歌と踊りを使いますがミュージカルとはまた違う、今までにない新しい形の総合芸術作品です。
しゃけ:
おおー!業界最先端の香りがしますね。オーディションの様子も教えていただけますか?
Lianaさん:
オーディションは驚きの連続でした。まずビデオ審査を通過しました。
そして、二次審査で呼ばれたオーディション会場は、ニューヨークのジャズバーの中だったんです。
舞台にマイクがあり、客席にディレクターの皆さんが座っています。そして一言
「なにか歌ってみて」と言われたんです。
しゃけ:
わ!映画のような展開!
Lianaさん:
私もこのようなオーディションを受けるのは初めてでした。アカペラでなにも見ずに一発勝負というような感じでした。一瞬戸惑いながらもレディー・ガガの『シャロウ』を歌いました。
しゃけ:
さすがニューヨーク!
Lianaさん:
そうですね、日本とは全く違うオーディション方法ですね。
そのあとには「曲を流すから踊って」と言われ、急に流れ出したノリノリの音楽(笑)に合わせて踊りました。ダンスの方がうまくいったかもしれません。体が自然に動いていました。
私はオーディションが大好きなんです。もちろん不安はあるのですが、不安が自分を押すというか。あの緊張感がたまらなく好きです。
しゃけ:
おおおー。「不安が自分を押す」名言!
Lianaさん:
その後すぐに三次審査に呼ばれ、即興でみんなで踊ったり歌ったりするものでした。生バンドと一緒にオーデションで踊る機会はこれまで一度もなく、とても楽しかったです。
バンド5名、パフォーマー3名が選ばれるのですが、その中の一人として合格しました!
他のメンバーはみんなアメリカ生まれ。外国人は私だけです。渡米してまだ5年ほどですが、ニューヨークの最先端のお仕事に携われることが本当に嬉しいです!
発表は2025年11月(ニューヨーク)なのですが、制作の段階から撮影は始まっていて、ドキュメンタリーのような要素もあり、全米でテレビ放映されることも決まっています。
2026年の6月はロサンゼルスでやるということも決まっています。
しゃけ:
おお!それは大きなプロジェクトですね。英語は大丈夫ですか?
Lianaさん:
英語は今も勉強中ですが、5年前、私の英語力はほとんどゼロの状態だったんです。大学で英語だけの生活を送り、英語の歌を歌うことで単語や発音を覚え、ミュージカルの台本に発音記号を書いて読む訓練をしました。アメリカ人特有の表情はドラマ『ゴシップガール』などで習得していきました。
しゃけ:
努力家ね!(流暢な英語を1分ほど披露してくれました!)
Lianaさん:
毎日何かしていないと落ち着かないというか。やることリストを書いてチェックしていくのが好きなんです。「宿題ください!」「仕事をどんどんください!」という感じで(笑)やることが山積みになっている生活のほうがわくわくします。
しゃけ:
昔からそうですか?
Lianaさん:
10歳の時もとにかくオーディションが楽しかったことを覚えています。合格者が発表されるドキドキ感。人の評価を気にするということなので、あまりヘルシーではないかもしれないですけど(笑)
もちろん落ちたら落ち込みますし。でも良い評価をいただいてオーディションに受かった瞬間の幸福感が忘れられなくて今も受け続けているのかもしれません。
初舞台の帝国劇場『モーツァルト』では何の知識もない私を先輩たちが支えてくれました。日本で一緒にお仕事した皆さんにとても感謝しています。ミュージカル『レ・ミゼラブル』などをはじめとする東宝のドラマチックで壮大な作品が大好きなので、いつかまた帝国劇場の舞台に立ちたいです。
しゃけ:
うんうん。ミュージカル『スコア!』では主演。NHKにも出ていたのですね。
Lianaさん:
はい。毎年ミュージカルに出ていたのですが、ありがたいことに『スコア!』で主演させていただきました。それを見てくださったNHKの方からラジオやテレビのお話をいただき、カメラの前で演技する機会をいただきました。歌う役が多かったです。
そのころからいつかはブロードウェイへ!と思っていたのですが、2017年私がニューヨークに遊びに行って観たミュージカルにアジア人が一人も出ていなかったんです。私には無理だ、と諦めました。
でも、アメリカの大学やダンスツアーを経験した数年後の2022年にニューヨークへ行ってみると、なんだか雰囲気が変わっていることに気がついたんです。もしかしたら自分の英語力が上がったことで見える範囲が広くなったのかもしれません。しかし街の雰囲気も以前と違う。ニューヨークは遠い憧れの場所ではなく、少し身近に感じました。ニューヨーク在住の友達に背中を押されたこともあり、AMDA(The American Musical and Dramatic Academy)に編入しました。
しゃけ:
では、しばらくニューヨークにいたいのですね?
Lianaさん:
はい。個性的で芸術的で刺激がいっぱいのニューヨークが大好きです。学ぶことがたくさんあるのと同時に、自分の個性を見直す良い機会にもなりました。
たとえば今年7月には、オフ・ブロードウェイ作品『Mr. Puppy The Musical』で3役(日本人・ブラジル人・メキシコ人)をカバーしながら、稽古・場当たり・本番を通して1人で複数の人格を演じ分ける難しさと向き合いました。文化的背景が異なる役を演じる中で、表面的な演技では通用しない「身体の説得力」や「声の温度」を求められる現場に立ち、表現の深さを改めて学びました。
また、8月には『The Diary of Yoko Moriwaki』という戦争と平和をテーマにした作品に、日本人キャストとして出演します。特にこの作品は広島原爆投下から80年という節目に合わせて、関係者・メディア向けに発表されるもので、言葉だけでなく“存在”そのものに意味が問われるような時間になると感じています。
こうしたプロジェクトに参加しながら、毎日リハーサルに通い、台本を読み込み、資料を読み、身体と声のコンディションを整える。それは「夢を追う」フェーズとはまた違う、“表現を仕事にして生きる”という感覚です。
私が今ここにいるのは、たくさんのアーティストたちのミュージカルを観たからです。
元気をもらい、夢をもらいました。
ミュージカルが私の人生の支えだったこともありました。
これからは作る側として、感動を伝えたり、誰かのお役に立てたらいいなと思っています。







Lianaさんがアイダホで大学生だった頃、歌やダンスのパフォーマンスを拝見する機会がありました。小柄な彼女でしたが、誰よりも目を引いていたのを覚えています。その頃よりさらに洗練された彼女の姿を見られると思うと、とてもワクワクします!応援しています、頑張ってください!