世界の人を笑いの渦に巻き込むプロのプール・プレイヤー大井直幸

世界の面白ビデオを見ていると、ビリヤード(アメリカではプールと称する)のトーナメント後っぽい、日本人選手のインタビューがでてきた。つたない英語で取材に答えながら、突然にピコ太郎さんのアップルペンをやってみせたのだ。
2017年のインタビューでは、変なオジサンもやっている。この物怖じしないキャラクターで、世界の人から人気を得ている。

今もプールのトーナメントに出場するために、世界をかけまわっている大井直幸さんにお話をうかがった。もちろん取材は日本語だったのだけど、取材をはじめてすぐに、「どれくらいの時間、お話しできますか?」と聞くと「40時間くらいなら話せます」って、平然と答えた。一瞬、えっ?って思うようなことを普通に口にするタイプのようだ。

なぜプールがうまくなったんですか?

「父がプールのお店をやっていて、小さい頃からやってました。高校にも行きましたが、ビリヤードばかりやってましたね」

インタビューで、なぜ志村けんさんのネタをやったのですか?準備してたのですか?

「やりたいことをやってるだけで、あまり周りの反応のことは考えてないです。面白いからやろうとかって考えても無理だって思うので」

海外のトーナメントへ出るようになったきっかけは?

「2006年、23歳のころに、日本のトーナメントで1位になってから、すぐに海外の試合に行きだしたのですが、5年くらい全然勝てなかったです。

2017年のインタビューでも、優勝したわけじゃないけど、優勝した人より、インタビューが目立っちゃって。次の日からあちこちのニュースで流れていました。そのせいか、日本でも話題になりました」

©大井直幸

練習はどれくらいやっていらっしゃるんですか?

「朝9時から毎日来て、昼過ぎまで練習します。午後も元気があれば、もう一回来たりします。プールしかやることがないんです」

どうやって生活費や旅費を工面しているのですか?

「収入源もプールです。プールの好きなタニマチ※1的な方たちが応援してくれています。まだ世界一になったことはないのです。プールってギャンブルみたいなもので、トップのほうのグループには入るのですが。優勝となると、かなりタフなことです。

僕のステータスは、優勝したいというわけじゃなく、そこ(トーナメント)にいたいっていう自分がいて。そこにいないと、忘れられますから。チャンスがあれば、とにかくそこにいたいのです。渡航にも協力してくれる方がいます。いないときもあるのですが、いなければ自力で行ってます」

※1タニマチ・・・相撲用語から発生した言葉で、後見人的な立場で金銭面ほかを援助する人、つまりスポンサーになってくれる人という意味

英語のインタビューは、かなりうまくなってますよね。

「英語の練習もしています。一人で話していると、わからないかもしれないですが、相手がいれば、なんとなく通じるんです」

次のトーナメントは?

「ヒューストンへ8月18日から行きます。
ヒューストン・トーナメントのFacebook

全米オープンが、アトランティック・シティーで9月13日からあるので、そちらに出場して、またヒューストンに戻ってトーナメントはたくさんあるので、出場する予定です。

トップに残る人たちはアメリカ人やヨーロッパから来ている人がほとんどですが。ふと気がつけば僕は、プールしかできないので、続けるしかないのです」

勝つこともありますよね?

「勝つ可能性があることは、間違いないのですが。あまり深いことを考えず、行きたいから行かせてくれ、やりたいからやらせてくれって感じです。いつも今回が最後かなぁ〜って思いながら行ってるんです。あまり結果にとらわれずやれているのが、ありがたいです」

粘り強いタイプなのでしょうか?

「やりたいっていう気持ちを続けることができるんです。普通の人は試合に負けたら、すねちゃって折れちゃうじゃないですか。僕の場合、意地をはらずにすぐに諦めて、今の自分でいけないなら、違う自分に変えてみようかという切り替えが早い、その繰り返しです。

起き上がるのに理由なんてない。無理に起き上がるのはしんどいじゃないですか。たとえば、家でずーっと寝ていても、そのうちに起きるわけです。何百回も何千回も折れてるけど、起き上がる。

プールは、対人ゲームなので、自分がミスしなかったとしても負けるときは負けます。なので、あまり自分の世界観にとらわれないようにしています。自分が悪かったら負けるみたいな考え方はしないのです。ベストでやって、結果にはこだわらない」

「今は、ベストをつくせるようになったって感覚がようやくでてきました。ただし、ついてるついてないっていうのは、勝負事なので、当然あります。

実力だけで勝てるゲームではないというのもあるので、自分が一番うまいと思ってないっていうか、思う瞬間もあるけど、わからない。

わからないから、ベストをつくすしかない。そのほかは、ゴミのように生きています(笑)。トップクラスの選手は、外因のことも考えるみたいですけどね。

日本人って、ベストを尽くしても負けたならしょうがないって、『負けたときの美学』のようなものがあって、クッションとしてゴールにそういうのを置いておくんですよね。

たとえば、仕事なんでもそうだけど。念頭に、努力して報われないことも考えている。努力して報われないこともあるよね。報われないことも、しょうがないって思いながらも、努力するっていうのもある。でも、ここまでやったんだからいいじゃんって。

僕の場合、たぶん普通の人とは違って、精神的なところで安定してないかもしれないのですが。ベストを尽くしたことがすべてってところで止めて、常に、勝つことに対してベストをつくしているんです。

先のことを考えないのがポジティブっていうか、瞬間瞬間をポジティヴに考えているんです。そうやってチャンスを探して生きていくのが正しいって思うから。

『昨日の自分に勝てばいい!』って。やる気のある人は、どんどん人間として成長していけるのです」

プールやる以外は、なにを普段やってるんですか?

「彼女と住んでいるので、彼女にアメリカを見せてあげたいのですが、飛行機が苦手なので来れないんです。今は、年間の2〜3ヶ月はイギリスへ行ったりアメリカへ行ったりといった生活で、トーナメントが仕事と趣味みたいなものです。そこでどうやって生活しているのかは、謎ですけど、なんとか生活できています。

今、十分楽しいですし、勝った負けたは、僕には必要ないんです」

プールって何歳くらいまで続けられるんですか?

「僕は、38歳なのですが、50歳くらいまではいけるみたいです。しかし、早くにやめる選手もいます。気持ちの問題で、メンタルがしんどくなってくるんです。プレッシャーに負けたりするようです。

はっきり僕の中でいえるのは、『そんなはずない』って思わず、自分に正直に生きていて、言い訳もしません。だから続けられるのかもしれません。そうやって、続けていられるのが一番いいところです」

英語のインタビューでもお笑いタレント以上に笑わせてくれる大井さんは、人間的にもポジティブでパワーのある人だった。だからこそ、世界に通用する笑いをとって、パワーを人々に与えることができるのだろう。<取材・執筆 ベイリー弘恵>

【関連リンク】
大井直幸のゼロワンチャンネル(Youtube)
大井さんのTwitter

©大井直幸

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