トシ・カプチーノさんのキャバレー・ショーでそれぞれの昭和史を懐かしむ

トシ・カプチーノさんのキャバレー・ショーへ行くため、NY郊外からに住んでいるそれぞれが子育てを終えた日本人女性ばかり10人でストレッチリムジンに乗りこんだ。車内は、まるでプラネタリウムにいるみたいに小さな星空の光が、ピンクやブルーに輝く。

そんな内装に見惚れてるスキもないうちに、シャンパングラスにシャンパンを注ぎ合う。

シャンパンを片手に、みんなで昭和歌謡を大合唱。シャンパングラスをマイクにして歌いこんでたりするのもご愛嬌。私もリモの窓が割れるんじゃないかってくらいの大声で、聖子ちゃんや明菜ちゃんを歌いまくった。

ブリッジを渡るとき、それぞれがニューヨークの夕焼けを見ながら、「ここから眺めるマンハッタンの景色が一番スキなのよねぇ〜。」と、つぶやいた。一瞬しんみりしていたが、そこから先も再び昭和歌謡が続いた。


ブルックリンにあるナイトクラブThe Red Pavilion

杏里に安全地帯のワインレッドの心を存分に歌いこんだところで、ブルックリンの会場へ到着。到着後に入った会場も、ピンク色の照明ですでに楽しそうな雰囲気。トシ・カプチーノさんのキャバレー・ショーには、抜群にマッチしているのでショーへの期待も高まった。

トシさんのパンチのきいた「ハチのムサシは死んだのさ」に感動

ショーの序盤で歌った昭和の名曲「ハチのムサシは死んだのさ」。

この曲は、生まれていなかった人たちには馴染みがないようだったけど、私にとっては特別な思い出がある曲だ。

幼い頃、兄と一緒にレコードプレーヤーで何度もこの曲を繰り返し聴いて、一緒に歌った記憶がある。兄には障害があったため、物心がついてからは、兄を支える立場になった私だけど、兄を一般的なイメージで「兄らしく」慕うことができたのは、この頃だけだったかもしれない。だからこそ、この曲は私にとって「子供として無邪気であれた時期」の象徴のような歌でもある。

あの頃の兄妹らしい楽しい時間がふと蘇り、とても懐かしい気持ちになった。そんな思い出の曲をトシさんのパンチのきいてる歌声で、ライヴで聴いて感動した。

「ハチのムサシは死んだのさ」っていう歌詞も、現実世界でミツバチが激減しているという状況とリンクして、ハチたちが絶えていく姿が目に浮かぶようで、なんだかぐっと来てしまった。こうして環境問題にまで思いを馳せる夜になるとは。歌の力ってすごい。

アニソン人気、アメリカでも健在!

アメリカでもカラオケでダントツで人気のアニソン「残酷な天使のテーゼ」も、オリジナルのシンガーに負けない音域と声量だった。続いて「銀河鉄道999」も、ノリノリで抜かりない歌唱力。聞きたい歌にパワーを与えてくれる歌い手によって、生で聴けるのはありがたいものだ。アメリカ人のお客さんたちも、知っている曲に盛り上がってきた。

シュールすぎる即興演出がクセになる

ライブの途中、客席から4人の女性をトシさんが選んでステージに上げた。福の能面みたいなのを被って、二人ずつトシさんの横で即興で踊り始めたのだけ。これがなんとも言えずシュールで、不思議と目が離せない。会場全体が「これ、何?でも最高!」っていう不思議な空気に包まれている。

私はといえば、一瞬だけ、「蝶々夫人」のメトロポリタン・オペラで人形浄瑠璃文楽を使っているステージをで観ている気分になった。

歌の合間には、いつものジョークもキレッキレで、会場は笑いに包まれてばかり。

トシ・カプチーノさんのライブは音楽だけじゃなくて、今回の会場The Red Pavilionはブルックリンで、若者が集まる人気スポットであり、デザインもステキだった上、トシさんの演出もパーフェクト!ステージ・マネージャーの田中史子さんのサポートもあり雰囲気含めてすべてが、いつもに増して素晴らしい体験だった。

「ハチのムサシは死んだのさ」みたいに考えさせられる曲もあれば、シュールな世界に引き込まれる瞬間もある。あっという間の最高の時間だった。

私は欠かさず来ているトシ・カプチーノさんのキャバレーショー。まだ観たことない人は、NYでも日本でも、ぜひ一度体験してみてほしい。



【関連リンク】

●トシカプチーノのニューヨークキャバレーショー「ザ・昭和歌謡・夜もヒッパレ!」については、トシカプチーノさんの公式ブログで予定をチェックできます。
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