「安定安心は退化の始まり」村本大輔がニューヨークで挑み続ける理由
言葉も知名度も失った先に見える、新たな表現の可能性
日本を代表するコメディアン4人による英語のスタンダップコメディショー「Tokyo Kanpai Boys」。日本とアメリカ、異なる文化や価値観をユーモアに変え、独自の笑いを届けるステージだ。
出演するのは、村本大輔、ダニエル・ウィルソン、宰務翔太 、安田寛生の4人。それぞれ異なる経歴と個性を持ち、日本と欧米の文化的な視点を融合させたコメディを展開する。
その中心的な存在の一人が、日本のお笑い界で長年活躍してきた村本大輔さんだ。
日本では漫才師として成功を収めながら、アメリカに渡り、英語でのスタンダップコメディに挑戦。母国語も、日本で築いた知名度も通用しない環境に身を置き、新たな表現を模索し続けている。
ニューヨークでの活動を通じて感じた変化、言葉を失うことの意味、そしてこれから目指すものについて、村本さんに話を聞いた。
ニューヨークと日本、二つの社会で感じる「自由」と「不自由」
Q. これまでニューヨークで何度か公演を重ねてこられましたが、現地の観客の反応はいかがでしょうか? 回を重ねるごとに、笑いが伝わっているという手応えや、ご自身の中での変化を感じることはありますか?
村本大輔さん:
僕自身、ニューヨークと日本を行ったり来たりし、言葉が不自由になるから気付くこと、言葉が自由だから気付くこと、言葉が自由なのに、人との付き合い方が不自由な日本、言葉は不自由なのに人との付き合い方が自由なアメリカ。
それぞれの不便さを感じることによって自分の内面性がより、表現するための栄養になってる気はします。自身の表現の成熟を感じます。
言葉の自由を失うことで生まれる、新しい笑い
Q. アメリカでスタンダップコメディを続ける中で、ネタの作り方や観客とのコミュニケーションに変化はありましたか? 特に、以前は伝わりにくかった笑いが伝わるようになったなど、印象に残っている経験があれば教えてください。
村本大輔さん:
日本にいてもアメリカにいてもネタの素材はいつでも”違和感”なので、違和感を伝える作業をするだけなので、ネタの作り方などは変わらないんですが、僕の英語のレベルがとにかく低いので、それはとてもチャンスだと思ってて、言葉の自由さを失うことが目的でアメリカにきたのも、来た理由の一つなんです。
45歳で25年芸人をやって、羽根を失い脚力を上げるかのような、そんな変化を求めてきたので、それは、自分の中で感じてます、言葉失ったおかげで、より短く刺さるネタができたな、とか。
「失い続けること」不安の先にある第三の自分
Q. アメリカでの活動を続けてこられた今、次に目指していることは何でしょうか? また、これから村本さんのライブを観に来るニューヨークの皆さんに、メッセージをお願いします。
村本大輔さん:
失い続けることですね。失い不安がないと、第三の自分の可能性は現れないので。
元々漫才をやってて日本で優勝しました、しかし、一人でやる時にとなりに相方がいないと不安になりました、しかしそのままネタをやると、二人じゃ表現できなかったことができた、いまはニューヨークでは第一言語を失い、英語で舞台に出る。
僕を知る人もいない、知名度も失った。新たな武器が、いま作られてる最中な気がしてます。
安定安心は退化の始まり、常に捨てることと変化すること、不安の中に飛び込み続けます。
失うことから始まる、新たな挑戦
漫才の相方、日本語という自由な表現手段、そして日本で築き上げた知名度。
村本さんは、これまで自分を支えてきたものを手放すことで、新しい可能性を切り開こうとしている。
日本とアメリカを行き来する中で見えてきた、言葉と人間関係における自由と不自由。その違和感を笑いへと昇華させることが、村本さんの表現をさらに進化させているのかもしれない。
「安定安心は退化の始まり」。
その言葉には、成功した場所にとどまるのではなく、不安の中に飛び込み続ける、一人のコメディアンとしての覚悟が表れている。
ニューヨークの舞台で、新たな武器を作り続ける村本大輔さん。その挑戦は、今も続いている。
Tokyo Kanpai Boysとは
「Tokyo Kanpai Boys」は、日本を代表する英語で活動するコメディアン4人によるスタンダップコメディショー。
日本と欧米、それぞれの文化や価値観を融合させ、文化の違いから生まれる違和感、日常の気まずい出来事、社会への鋭い観察などを笑いに変える。
出演者は、村本大輔、ダニエル・ウィルソン、宰務翔太 、安田寛生。
それぞれが異なるスタイルと経験を持ち、英語によるスタンダップコメディを通じて、日本のお笑いの新たな可能性を世界に発信している。
日本のコメディに親しんできた人にも、初めて触れる人にも、新鮮な笑いを届けるショーだ。<取材・執筆 ベイリー弘恵>
出演者プロフィール
村本大輔(Daisuke Muramoto)
日本で広く知られるコメディアンであり、日本におけるスタンダップコメディの先駆者の一人。
社会問題に鋭く切り込む大胆な発言と、緻密に練られたネタで知られる。日本語と英語の両方でステージに立ち、現在はアメリカでも活動を展開している。
ダニエル・ウィルソン(Daniel Wilson)
日本生まれ、アメリカ・アリゾナ州育ちのコメディアン。
ワタナベコメディスクールを卒業後、日本の大手芸能事務所に所属し、約8年間にわたって漫才師として活動。数多くのテレビ番組にも出演してきた。
日本とアメリカの両文化を知る経験を生かし、独自の視点から笑いを生み出している。
宰務翔太 (Shota Saimu)
日本のスタンダップコメディ界で注目を集める若手コメディアン。
日本語と英語の両方で定期的に公演を行い、東京国際コメディフェスティバルの現チャンピオンとして知られる。
相手をユーモアで鋭く切り返す「ローストバトル」の国際的なシーンでも存在感を発揮している。
安田寛生(Kansei Yasuda)
東京出身のスタンダップコメディアン。
アメリカの人気コメディ番組『Kill Tony』でゴールデンチケットを獲得し、世界的な注目を集めた。
その後、ソロショー『RESPECT!!』を携えて北米各地をツアー。英語で活動する日本人コメディアンの中でも、急速に存在感を高めている一人だ。
スケジュールはこちら
日本語公演は11月5日(木)午後7時・9時30分、英語公演は11月6日(金)です。
11月5日 日本語公演のチケット購入ページ(Punchup)
また、11月6日(金)午後11時30分の英語公演は、会場の公式サイトからも購入できます。
11月6日 英語公演のチケット購入ページ
一般席は手数料込み37.37ドル(別途税・飲食代)

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