映画『八犬伝』の題字を手掛けた書道家の赤澤佳心が登場!Art of Shoがニューヨークで開催

新シリーズの公募展「Art of Sho」が始まります。今回は、エミー賞放送作家の安達元一さんと、ニューヨークで日本文化の紹介に力を入れているキュレーター・佐藤恭子さんがタッグを組み、「書」をテーマにした展覧会の第11弾です。公募で選ばれたアーティストたちの作品が展示され、ジャンルや経歴に縛られず自由な発想で生まれた「書」の新しい表現が楽しめます。

シリーズを通して、日本からの才能あふれるアーティストたちがニューヨークの最先端アートシーンに飛び込む姿を見ることができるのがこのイベントの魅力。

昨年から継続開催してきたシリーズ「Stepping Into A World IV」(シリーズ10、ギャラリー・マックス・ニューヨーク、日本人34名)、さらにもっともカジュアルなジャパン・コンテンポラリーズ(シリーズ 12、ギャラリー60NYC、日本人6名、恵まれない東南アジアの子供達を支援する「ウェル・ビーイング・アート展」も開催)、そしてタイムズスクエアの大画面を使った「100 Artists of the World」(シリーズ13、3Times Square、14名)の4本の企画を同時開催し、秋のニューヨークに日本美術旋風を起こします。

今回の展示には、書道家・赤澤佳心さんの作品も登場します。赤澤さんは、今月公開の役所広司さん主演映画『八犬伝』の題字を手掛けたアーティストで、11月5日からテンリ文化協会で1週間にわたり開催される「書」の展示にも参加されます。公募で選ばれたアーティストたちの作品と共に、現代の「書」がどのような新しい表現を見せてくれるのか、ぜひお楽しみに。

審査員には公募の審査員は、レス・ジョーンズ博士(コロンビア大学リサーチ・スカラー、キュレーター)、安達元一(エミー賞放送作家)、佐藤恭子(NYキュレーター)、公平かつ大胆な選考が期待されます。現代の「書」の可能性に触れながら、新しいインスピレーションを見つける絶好のチャンスです!

「日本のテレビ界で長年活躍してきた感覚で美術界を斬る。古くからの伝統を重んじる世界に、自由奔放な発想で新しい風を 吹かせたい。有名な美術大学を出ていなくても、有力なギャラリーの庇護を受けていなくても、美しい作品は美しい、面白い 作品は面白い。魅力的なアーティストを世界で暴れさせてみたい。そんな型破りの挑戦を今回してみたいと思います。」 ー 安達元一

*** 2021年、文化庁は「書道」を登録無形文化財として登録しました。しかし実際には、令和2(2020)年に文化庁が実施した調査によると、生活様式の変化によって日本人は、毛筆で文字を書く機会が極めて少なくなっており、書を鑑賞する機会も少なくなっています。

書道は、毛筆と主に墨を使って多くは紙に文字を書く芸術です。漢字は5世紀に中国から日本へ伝えられたと言われていますが、それに伴い書法も学びました。長い歴史を経た芸術や技術は、伝統を守りながら継承していく必要がありますが、興味深いことに実際にはその時代に応じて新しいスタイルが生み出されて来たのです。

室町時代以降には茶道が興り、禅僧がしたためた「墨跡」と呼ばれる書とともに茶会に書の掛け軸が用いられるようになりました。また900年頃の平安時代にひらがなが作られたので、書でも平安中期ごろには「和様」という日本独特の書風が生み出されました。平安時代は和歌が盛んに作られ、それを記すのに散らし書きや連綿の技法などが使われかなの書が作られました。

江戸時代は鎖国によって日本固有の文化が大きく花開いた時代ですが、書も新しい表現が生まれました。初期は、寛永の三筆の近衛信尹・本阿弥光悦・松花堂昭乗が現れます。中期には、幕府右筆の森尹祥、近衛家熙、加藤千蔭、池大雅などが知られています。

そして近代には、西洋の影響で美術館や博物館が創設され、書もそういった施設で展示されるようになりました。また、書家によって形成された書道団体が中心となって、現代では伝統的な書道が継承されています。

このように、書道は、伝統が蓄積・継承された素晴らしい文化形態であるからこそ、国も価値ある登録無形文化財として登録をしました。そして歴史を振り返ってみると、その時代に応じて革新的な表現も生み出されて来たので、そもそも今の私たちの時代における「書」とはどのような表現になるのか考えてみたいと思います。

この度のニューヨーク開催の「書」展では、日本固有の「和様」を伝統として踏まえつつもこのグローバルな社会、AIをはじめとした最先端技術が日常になった世界に生きる現在の私たちにしっくりくる文化としての「書」の表現を自在に描いた作品を紹介致します。

本展には、2024年10月公開の役所広司主演映画「八犬伝」の題字を担当し、本公募で準優秀賞受賞の佳心の作品を展示します。また、「書」を広義に解釈すると、言葉や文字をアートとして表現したものと言えます。西洋の文脈、特にアメリカのアートに照らし合わせるとグラフィティも西洋的な表現の「書」と解釈できます。その見地からニューヨークで活躍のアーティストには、彼らの斬新な「書」作品を紹介していただきます。

ー 佐藤恭子
参考文献:https://www.bunka.go.jp/prmagazine/rensai/news/news_004.html

【イベント詳細】
アート・インキュベーション シリーズ11 (Japan Contemporaries Series 11)
THE ART OF SHO
キュレーター 安達元一、佐藤恭子

天理文化協会 | Tenri Cultural Institute
43A W 13th St, New York, NY 10011 | (212) 645-2800
2024年11月5日(火)ー12日(火) 12-18時|9日・12日12ー15時、10日・11日休館
レセプションとパフォーマンス: 2024年11月7日(木)19-21時

アーティスト:
[優秀賞] Koho KURIHARA、栗原五踊、栗原正峰、秋山由美
[準優秀賞] 木村 茜、Aco、書家志龍、佳心(けいしん)、雷彩、Maya Ito、秋華、蒼月、松本草舟、有恵
[入選] 玄龍胤、KOTORA、巫尊(みこと)、ミラクル・ミコ、夜舞兎
[ゲスト | NYフロント・ランナー ] ジム・ジョー、マイケル・ラム、リチャード・フォード3世、ソンミン・アーン、シェ
ルター・セラ、ヴィンセント・チョン(予定)

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